英国からの変異株、デンマークに定着か 遺伝子解析で続々発見
◆すでに市中感染か? 事前準備も万端
デンマーク国内の変異株の感染には地域差はあるものの、ロスキレ大学のThea Kolsen Fischer教授は、旅行者関連の個別のケースというよりも、実際には市中感染に入ったようだと述べる。変異株のほうが重症化しやすいということではなさそうだが、感染速度が早ければ医療システムへの影響が心配だと地元紙に話している(The Local)。
SSIのTyra Grove Krause氏は、より感染力の強いウイルス株が広がれば、エピカーブ(流行曲線)のピークも高くなると述べる。変異株が広がれば、感染予防策をより強化しなければならず、感染を低くコントロールするためには、予防策実施期間の延長も必要だと述べている(同)。
◆変異株がほかの株を駆逐? ワクチン接種にも影響
デンマークでは、感染状況と病床のひっ迫が4月に比べ深刻になっており、すでに現在のロックダウンを1月17日まで延長するとしている。Krause氏は、ロックダウンで感染者数は減らせるものの、変異株は最終的には現在出回っているほかの株を駆逐してしまうと見ており、厳しい規制が解かれれば、すぐまた感染が広がるのではないかと懸念している。現在数理モデルの専門家グループが、変異株が現在の規制のなかでどのように広がるか、またどのぐらいの人々にワクチン接種が必要なのかを計算している(The Local)。
急激な感染拡大を受けて、イギリスではできるだけ多くの人々を早急に保護するため、ワクチンの1回目の接種を優先し、2回目は製薬会社の勧める接種時期より大幅に遅らせることを発表した。デンマークでもワクチン接種はすでに始まっており、580万人の国民のうち4万5800人が1回目の接種を終えているが、イギリスの様子をみながら、2回目の接種時期を遅らせる考えを示している(ガーディアン紙)。
感染症専門家のジェレミー・ファラー氏は、感染力の高い変異株が世界で優勢になれば、さらに非常に厳しい波がくると述べる。2020年のパンデミックの進展はかなり予測できるものだったが、ウイルスの進化で、今後は予測不能の段階に入りそうだと危機感を表している(サイエンス誌)。
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