日本の曖昧な対応にも限界? コロナ優等生・東アジアに試練
◆以前とは違う 感染が止められない理由
このところの感染拡大の原因と見られているのは、追跡のできない「静かな」感染だとニューヨークタイムズ紙(NYT)は述べる。香港では検査能力が拡充され、接触者追跡も充実しているが、同じサイクルの繰り返しになっていると地元の専門家は話している。韓国でも、感染はナイトクラブなどの混んだ場所だけでなく、家庭や職場といった政府が人の行動をコントロールするための選択肢がほとんどない場所で起こっており、これが対応を難しくさせている。
冬という季節的要因もある。寒さで人々は換気の悪い室内に集まりがちだ。感染が拡大した旭川などは冬の平均気温はマイナス5~10度という寒さで、換気のさらなる徹底は頼みにくい状況だとCNNは指摘。これは冬の寒さの厳しい韓国でも同様ということだ。
そこに人々の「コロナ疲れ」が加わりさらに問題は複雑化する。日本、韓国、香港では厳しいロックダウンは回避したものの、他地域よりも長期にわたって警戒と規制の続く日々を経験している。国民はもう十分疲れており、冬は感染が広がりやすいから警戒し続けるように、と言うのは困難だとCNNは指摘する。NYTは、韓国では医療従事者は疲弊し、若者はどこにも行けず退屈し、事業者は規模縮小、時短などで欲求不満になっていると述べている。
◆経済も心配……どっちつかずの対策に希望は?
NYTは、春夏まではクラスターとなる場所に規制をすることで感染対策としてきた各国だが、そのアプローチは含みを持たせたものに変わってきたと述べる。政府が経済への影響を心配しているからだ。CNNも、ウイルス封じ込めのためのすべての対策が取られているとは言えないとし、おそらく政府が国民もここまでが限界と恐れているからではないかと述べている。
その例として上がっているのが日本のGo Toキャンペーンで、感染を広げているかもしれないと言われても、なかなか全国一斉停止に踏み切れなかった。このようなあまり厳しすぎず緩すぎない中間を行くアプローチは、日本やほかの東アジア諸国ではほぼ成功してきた。厳しいロックダウンでも思い通りの結果にならずリバウンドを繰り返す欧米とは異なっており、厳しい冬にどのような結果となるのか注目されるとCNNは述べている。
日本については、国民が専門家の見識に耳を傾け自粛だけで危機を乗り越えたスタイルはすでに限界かもしれないとエコノミスト誌は見ている。もっとも、感染者増大といっても、スタート地点が劇的に低いところから始まっているとも述べ、欧米ほどの感染には至らないと見ているようだ。英米ではワクチンの接種が始まっているが、東アジアでは早くても春以降と見られている。感染者数を低く保ち冬を乗り切ることが当面の課題と言えそうだ。
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