全頭殺処分命令で混乱、デンマークの「ミンクゲート」 予防のため殺される動物たち

Mads Claus Rasmussen / Ritzau Scanpix via AP

 高級毛皮の代名詞のミンク。毛皮用のミンク飼育産業は、しばらく前からの逆風に加え、新型コロナウイルスの影響で風前の灯だ。というのも、一頭でも感染が確認されれば、全頭が殺処分になるからだ。コロナウイルスに感染する動物はほかにもいるのに、なぜことさらミンクが目の敵にされるのか? 世界一のミンク毛皮輸出国デンマークで起きた「ミンクゲート」と併せて紹介する。

◆ミンク飼育場で広がる新型コロナ感染と殺処分
 欧州疾病予防管理センター(ECDC)によれば、最初にミンクの新型コロナ感染が確認されたのは4月、オランダでのことだった。同時に、ミンク飼育場従業員の再感染も確認され、「人からミンクへの、またミンクから人への感染が可能であることが判明した」(RTL、11/24)。いまのところ人との間で双方向に新型コロナ感染が可能と見られる動物はミンクだけであり、それがミンクに悲劇を呼んだ。

 その後、夏以降も欧州飼育場におけるミンクの新型コロナ感染は広がり、オランダ、デンマーク、スペイン、スウェーデン、イタリア、フランス、アメリカの7ヶ国で感染が報告されている。ミンク飼育場での感染拡大に際し、各国はそれぞれ予防的殺処分に踏み切る。8月末にはオランダが、すべての農場のミンクを殺処分することを決め、ミンクの飼育は2021年春までに禁止される。アイルランドもまた陽性のケースが出る前に、殺処分を決定している(RTL)。フランスでは、国内に4ヶ所あるミンク飼育場のうち陽性が確認された一ヶ所で、約1000頭が殺処分にされ、従業員の感染テストと隔離政策が取られた。

Text by 冠ゆき