プラセボ接種に不満 コロナ治験参加者がワクチン接種を要求

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 新型コロナウイルスのワクチン開発が進んでいるが、すでにボランティアを使った治験で良好な結果を出し、緊急認可間近となったワクチンも出てきた。治験では、本物のワクチンを接種されるグループとプラセボ(有効成分を含まない偽薬)を接種されるグループを比較し、ワクチンの有効性を調べる。しかしプラセボを接種されたボランティアのなかから、治験を離脱し本物のワクチンを打ちたいという人が出てきており、関係者を悩ませている。

◆プラセボでがっかり、ワクチンを切望するボランティア
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)によれば、100人以上の新型コロナウイルスワクチンの治験に参加している人々が、自分たちが接種されたのはプラセボだったのか、また認可されたワクチンの接種を受けることができるのかを明らかにするよう、製薬会社に促すことを米食品医薬品局(FDA)に求めている。

 ボランティアのなかには、純粋に利他的な目的で治験に参加した人だけではなく、ワクチン接種を望んで参加した人もいる。もっとも治験では必ずワクチンを接種されるわけではなく、プラセボ群に入る場合もある。どちらを打たれたのかは治験の性質上本人には伝えられないが、抗体検査などを受け、確認する人もいるということだ。

 治験参加者の一人は、製薬会社はハイリスクの人を上手く治験に取り込んだが、そういった人ほどワクチン接種を切に望んでいると話す。プラセボが接種されていた場合、ほかのワクチンでも認可が下りれば、治験を離脱して本物を打とうとするだろうとWSJに話している。

Text by 山川 真智子