英語読みで嘲笑の的 オーストリアの村、困った村名をついに変更

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◆市長もうんざり メディアやネットも加担
 村は2021年1月1日をもって、村名をFuggingに変更すると決定した。実のところ改称は過去に何度も議論されてきたが、由緒正しい名前を捨てることに反対意見が多く、住民投票で否決された事実がある。村名が記された道路標識の周りに街灯や監視カメラを取りつけて、みだらな行為の抑止も試みたが、事態は悪化するばかりで、2012年頃には改称の求めが広がった(同)。

 村名が注目を浴び無料の宣伝効果があったのだから喜ぶべき、という意見もあるというが、ソーシャルメディアではからかいのコメントや、道路標識をバックにいやらしいポーズを取る写真などが横行しており、住民の我慢も今年で限界に達したようだ。改称でとりあえずは解決に向かいそうだが、村が属するタルスドルフ市の市長は、この問題ではいやというほどメディアの行き過ぎた取材合戦に巻き込まれてきたため、もう何も言いたくないとコメントしている(ガーディアン紙)。

◆意図せぬ不幸……恥ずかしい地名は世界に
 ほかにも、フッキングのように意図せず困った地名となった場所がたくさん存在している。ニュースサイト『MoneyControl』は、フランスにあるアニュ(Anus)、コンドン(Condom)、ビッシュ(Bitche)などの地名をあげている。

 さらに米ペンシルバニア州にはIntercourseという村があり、こちらはそのまま英語で性交を意味してしまう。村は競馬場の入り口にあり、enter course(コースに入る)から転じたという説、二つの道路が交わるIntersetionに由来しているという説があるそうだ。そもそも初期の英語ではIntercourse はコミュニティでの親睦や社会的交流を意味しており、現在のような意味はなかったらしい。

 ちなみにガーディアン紙によれば、Fuckingの村から国境を越えたドイツのバイエルン州には、Pettingという村が存在するそうだ。大きなお世話とは思いつつも、改称の危機にさらされていないことを祈りたい。

Text by 山川 真智子