Qアノン:SNSが表舞台に押し上げた陰謀論 政界にも深く浸透
◆陰謀論拡散に寄与したアルゴリズムとフェイクニュース
10月25日にフランス5で報道されたドキュメンタリー番組『嘘の製造』は、陰謀論がいかにうまくSNSの仕組みを利用して浸透したかを、丁寧にひも解いている。SNSは、検索サイトなどと同じようにアルゴリズムを用いており、一言でいえば、関連性のあるものが多く表示される仕組みになっている。たとえば「チョコレート」を検索すると、そのあとは「チョコレート」に関する広告が多く表示されるといった具合だ。そのため、SNSで一度Qアノンの関連用語を入力すると、Qアノンのページに誘導され、一度閲覧すれば、次から次へと関連ページばかりが開かれることになるのだ。「トランプ」や「反マスク」もQアノンの関連用語とみなされたと『嘘の製造』は明らかにしている。トランプは彼らにとっての救世主だし、「反マスク」は、Qアノンが、パンデミックはディープステートが児童買春組織から人々の目をそらすために仕掛けた攪乱作戦だと主張したことから関連用語とみなされた。
Qアノンは、フェイクニュースやコラージュ写真をふんだんに用い、閲覧する者の頭に陰謀論を植えつけていった。BBCニュースナイト(7/23)放映の『Qアノン:フェイクニュースを拡散する陰謀論』では、Qアノンに傾倒した家族を持つ人々の証言を聞くことができる。それによれば、Qアノンに染まった人々は、「悪魔崇拝の児童買春組織」が存在し、「民主党の政治家やスターたちは、赤ん坊を食べている」と信じ切っているのだ。
このように、SNSのアルゴリズムと、フェイクニュースの吸引力を利用してQアノンは拡大したと言えるが、それに加えて、ロックダウンにより在宅時間が増えたことも、陰謀論の拡散に貢献したとワシントンポスト紙(9/24)は指摘している。