「もっと学校の感染対策を」抗議の口火を切ったフランスの高校生ら

Bob Edme / AP Photo

◆国の譲歩も不十分としてスト決行
 休暇明けから瞬く間に広まる抗議運動に、休暇明けわずか3日目の11月5日、ブランケール教育相は高校での感染対策の変更を発表した。この決定により、高校の授業の5割のオンライン化が容易になった。グループを半数に分けるのか、対面授業を隔日にするのかなどの具体的な選択は、それぞれの施設の裁量に任される。また、バカロレア(高校卒業試験)の一部試験も1月に迫っていたものは中止となった。

 教員側は、教育省のこの発表を評価しながらも、まだ十分ではないとし、11月10日も全国ストを決行する構えだ。ストの呼びかけを行った中高教員の労働組合Snes-FSUの要求は、「高校に続き中学校での環境改善、施設消毒のための補助、教育プログラムの見直し」(ウエスト・フランス紙、11/9)である。

 保護者もまた現状には満足しておらず、PTAの集まりである保護者評議会連盟(FCPE)は、この機会に「多数の教員の採用」を要求する考えだ(フランス・アンフォ、11/9)。

 このように、教育の質と健康を両天秤にかけた一連のせめぎあいは、まだ落ち着く場所を見つけていない。パンデミックというどちらに傾くかわからない要素を含む状況で、「最善策」をどう見極めるのか注目される。

Text by 冠ゆき