「もっと学校の感染対策を」抗議の口火を切ったフランスの高校生ら

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◆適用の難しい強化対策
 ブランケール仏教育相によれば、今回休校措置をとらなかったのは、子供たちの身体的・心理的発展への影響を鑑みたためである。その代わりに強化された対策のおもな点は「小学校一年生からのマスク着用義務。生徒の混ざり合いをできる限り避けること。教室と換気と清掃の強化。(手洗い、消毒などの)防御策の強化、オンライン授業の可能性」だ(ドシエ・ファミリアル誌、10/30)。

 しかし実際のところは、これらの対策の適用は容易ではない。20minutes紙(11/4)は、「高校の廊下では(生徒が)密集し、学食ではみなぴったりくっついて列になっている。安全な場所などない。(中略)教室によっては、窓がはめ殺しなので換気は不可能だ。行き届いた清掃をするには人が足りない」と指摘する。また、フランスの高校では選択科目の割合が非常に高いため、生徒がそれぞれの時間割に合わせて教室を移動する必要がある。ゆえに「生徒の混ざり合い」は必至で、「できる限り避ける」と定められても、変更できることはまずないのが現状だ。加えて、ガイドラインに言及されてはいるものの、オンライン授業移行への可能性は低い。というのも、「前もって該当学区に計画を届け出る必要があるし、受理されるとも限らない」(20minutes紙)のが現実だからだ。

◆教職員のストライキ
 より安全な境遇を求める抗議運動は学生に留まらず、パリ近郊の一部の教職員はストライキを決行した。ル・モンド紙(11/5)によれば、パリ地域、モンペリエ、ペルピニャンでは「停止の権利(ドロワ・ド・ルトレ)」を行使するケースも見られた。「停止の権利」とは、ある条件において「雇用者の同意なく、労働者が職場を離れる、または職場につくことを拒否する権利」を認めるものだ。その条件は二通りあり、「労働状況が、労働者の生命や健康に深刻で差し迫った危険をもたらす」場合と、「保護制度に欠陥があるとみなされる」場合である。

Text by 冠ゆき