豊かな家庭の子供ほど成功 コロナで深刻になる教育格差
◆努力だけでは無理 親で決まる子の将来
親の所得や地位が子供の学力や将来の成功に影響することは、いくつかの研究で明らかになっている。イギリスのある研究では、1970年の同じ週に生まれた1万7000人を42歳まで追跡し、家庭環境、子供時代の能力、大人になってからの成功の度合いの関係を調べた。その結果、幼少期に低能力の兆候を示した子供でも、豊かな家庭の子供は比較的社会的地位の下降移動を避けられることがわかった。逆に、高い能力を示した子供でも、親の収入や地位が低ければ、高収入、最高位の職に就く可能性が低いことがわかった。
アメリカのジョージタウン大学の研究でも、同様の結果となっている。こちらは1989-1990年度の幼稚園児のグループを高校、大学、就職後を通じて追跡し、彼らのテストの得点、大学進学とその成績や業績、就職した仕事の社会的位置づけなどを調べた。その結果、低収入家庭の幼稚園児のほぼ40%が、大人になっても低い社会経済的地位にあることがわかった。また、調査開始時に裕福な家庭の幼稚園児の74%が算数のテストで上位半分の基準を満たすスコアを上げたのに対し、貧しい家庭の幼稚園児では23%しかいなかった。研究者たちは、すでにスタート時点で差がついているとしている(USAトゥデイ)。
さらに、同じ低成績の子供でも、裕福な家庭の子供のほうが親の経済力で学力強化ができるため、立ち直る可能性が高いとされている。研究者たちは、豊かな家庭に生まれた子供がこれといった才能がなくてもいい仕事に就ける可能性は、貧しい家に生まれた才能のある子供に比べ、ずっと高いと結論づけている(同上)。
◆国の豊かさも関係 埋まらない教育格差
エコノミスト誌が掲載した家庭の所得と子供の数学のテストの得点との関係を示したグラフでも、多くの国で親の所得が高いほうがスコアは高くなるという結果になっている。
もっとも、子供の学力の差は、生まれた国によっても大きな違いが出る。低所得の国の最高スコアは、高所得の国の最低スコアにも追いつかないことがグラフからは見て取れる。同誌は、豊かな国の貧しい学生になるほうが、貧しい国の豊かな学生になるよりも良いと述べており、教育格差は世界規模で広がるばかりだ。お金以外の方法でいかに差を埋めるかが課題と思われる。
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