カナダの先住民患者、看護師らから侮辱 FBに動画投稿 直後に死亡

ジョイス・エチャクワンさんの夫、キャロル・デュべさん|Paul Chiasson / The Canadian Press via AP

「移民の国」と呼ばれるカナダでは、毎年約30万人以上の移民を受け入れている。多文化主義を国の方針に掲げ、政策上でもダイバーシティを推し進めてきた。しかしそれは、先住民族の土地を略奪した歴史の上に成り立っているものでもある。先住民族への差別はいまだ根強く残っており、彼らをターゲットにした事件や殺人も発生している。

 9月末、先住民族であるアティカメク族のジョイス・エチャクワンさんがケベック州の病院で亡くなった。死の直前、彼女はフェイスブックにある動画を投稿している。そこに映っていたのは、病院のベッドの上で苦しむエチャクワンさんが、看護師らから侮蔑の言葉を浴びる衝撃的な光景だった。

◆死の直前に動画撮影 「お前は本当にバカだ」
 エチャクワンさんは37歳、7人の子供の母親だった。カナダ公共放送局のCBC(9月29日)によると、エチャクワンさんは動画の2日前に腹痛を訴えてケベック州のジョリエット病院に運ばれた。エチャクワンさんの親族はラジオ・カナダに対して、エチャクワンさんは心臓疾患を抱えており、病院でモルヒネの大量投与をされたことを不安に感じていたと話している。

 動画は、痛みに苦しみ助けを求めて叫ぶエチャクワンさんの姿と、彼女に対して「お前は本当にバカだな」などと言う看護師らの声を捉えている。少なくとも2人の人が「お前は間違った道を選んだんだよ」「お前のこんな姿を見たら、子供たちはどう思うだろうね?」「彼女が得意なのはセックスだけ」などと彼女を侮辱し続ける様子が映っている。エチャクワンさんは動画を投稿した直後に亡くなった。

Text by 中原加晴