ノルウェーで鯨肉人気復活か 国内旅行増加がきっかけに

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◆コロナで見直された? 鯨肉ブーム到来
 実はノルウェーの鯨肉人気復活は、コロナウイルス感染の拡大が大きく影響していると見られている。地中海リゾートなどに出かけていた人たちが、パンデミックで旅先を国内に変えており、フィヨルドや白夜といった見どころ満載のロフォーテン諸島など、北部が人気だという。この地域では伝統的なクジラ料理が楽しめ、多くのノルウェー人が鯨肉に開眼しているということだ(フォーブス誌)。

 Mongabayは、パンデミックにより地元の食品を買おうとする人が増えたことも理由のようだとしている。BBCによれば、オスロで伝統的な食品を扱う店、Ost & Santにも多くのノルウェー人が訪れているという。店のスタッフは、旅行やレストランに行けない分、家で料理をする人が増えたのではないかと話している。同店では、クジラの塩漬け、燻製、ソーセージなどが若いおしゃれな客層に人気で、数ヶ月で店一番の人気商品になったということだ。

 実はノルウェーのシーフード連盟では、パンデミック前の1月から、ローカルフードとしての鯨肉の魅力をわかってもらおうと、プロモーションをしてきた。伝統的な鯨肉料理は、シチューやクリームを使った重たいものが多かった。そこで有名シェフお薦めの、揚げたり軽くあぶったりする今風のレシピでアピールし、これも人気につながったと同連盟の担当者は話している。国内最大のスーパーマーケット・チェーンでもセールスは好調で、サプライヤーは来年の契約はより大きなものになると期待を寄せている(BBC)。

◆NGO反発、ノルウェーは理性的に反論
 ノルウェーの鯨肉人気復活に気が気でないのが反捕鯨団体だ。スイスのNGO、オーシャンケアのFabienne McLellan氏は、IWCはノルウェーの商業捕鯨活動について申し入れを行うべきだとし、EU諸国もノルウェーにプレッシャーをかける必要があると述べる。また、観光客も捕鯨国での鯨肉消費は避け、ホエールウォッチングのような活動をサポートすべきだとしている。捕鯨はもはや必要な産業ではなく、IWCのモラトリアムを無視した漁獲割り当ては止めるべきだと主張している(Mongabay)。

 一方ノルウェーはIWCの商業捕鯨禁止に文化的な理由をあげて従わず、今日でも捕鯨は持続可能な産業だという考えを維持している。ノルウェー貿易産業漁業省のシニア・アドバイザー、アレッサンドロ・アストローザ氏は、なぜ鯨肉がほかのたんぱく質源である食材より中傷を受けるのかと問う。また、ノルウェーがおもに捕獲するミンククジラは絶滅の危機にはなく、捕鯨産業は畜産業のようにメタンガスも放出しないと主張。捕鯨問題は、思考よりも「感情に基づく」問題になっているとしている(BBC)。

Text by 山川 真智子