「へそ出し・ミニスカ禁止」に女子高生が反発 1800年の「ズボン禁止」から抗う仏女性

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◆廃止されたのは2013年
 その後、60年代には(イヴ)サン=ローランやクレージュのおかげで女性のズボンは、タブーではなくなっていく。アメリカからブルージーンズが到来し、1970年代にはズボンは一般的になった(ロプス、2010/5/4)。この時点で1800年の法律はすっかり形骸化していたかに見えるが、その反面「多くの議員が提案したにもかかわらず、(この1800年の)法律の廃止には至らなかった」(フランスアンフォ)という事実が問題の根深さを示すように思われる。

 その間フランスでは女性議員も徐々に増えていった。しかし、ロプスによると、1980年まで女性議員はズボンで議事堂に入ることを許されなかった。そうして、ようやく女性のズボン着用を禁じる1800年の法律が廃止されたのは、わずか7年前の2013年のことなのだ。

 しかも、いまだに「労働法(L.120-2条)は、明白な理由があれば、雇用主に、雇用者がスカートを履くよう強要する権利を認め」(ロプス)ていて、女性の服装の自由は、まだ獲得されたわけではない。

 こうして振り返ってみれば、今回の女子高校生らの抵抗運動も、綿々と続く社会運動の大きな流れのひとつに見えてくる。ズボンの次はスカートと、自由の追求には終わりがないようにも思えるが、追及し続けることで、「自由」そのものの定義も明らかになっていくのかもしれない。

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Text by 冠ゆき