世界第2位の評価、西アフリカ・セネガルのコロナ対策

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◆早期対応策と最新技術の活用
 セネガルのコロナ対応には、2014年のエボラ出血熱の経験と対応が生かされている。同国は、エボラ出血熱発生時も、西アフリカの隣国の対応から学ぶことで、感染拡大防止した。世界保健機関(WHO)の発表によると、同国でのエボラ出血熱の最初の感染が確認されたのが、8月29日であったが、WHOなどの専門機関との迅速な連携、そして接触者追跡(コンタクト・トレーシング)の徹底によって感染拡大を防ぎ、10月17日には終息が発表された。

 今回も、セネガルの保健緊急オペレーションセンター(Health Emergency Operation Center)のブッソ医師によると、WHOが1月にCOVID-19の発生を確認した時点で、セネガル政府は対応策の検討を始めたという。その後、3月2日に最初の感染者が確認され、欧州からの入国者を中心に徐々に感染者が増えたため、3月23日には緊急事態宣言を発令し、人々の移動制限、礼拝を含む集会の制限、学校の閉鎖、夜間の外出禁止、国境封鎖などの措置を取った。

 カタールメディア、アルジャジーラのダカール在住の記者の4月下旬時点での報告によると、さまざまな場所で体温検査が実施されていたという。中国との関係性が近い同国が、体温検査実施やテスト実施による感染者の摘発やトラッキングが重要であるというインサイトを、中国関係者から直接ヒアリングできたことも、対応策の成功要因となったようだ。感染者が見つかると徹底した接触者追跡が行われ、感染の疑いがある人々は政府からの補助を受けたホテルにて隔離されたという。通常は観光客や訪問客などが宿泊する高級ホテルも隔離場所の対象となった。

 また、首都ダカールには、約1世紀にわたるバイオメディカル分野の研究実績のある、パスツール研究所がある。同研究所がデング熱発生を機に開発されてきたテストキットが応用され、モバイル型・簡易テストキットが開発された。コストは1ドル。本格的な検査機関がない地方などでも、簡単かつ安価にテストを展開することができた。ほかにも、現地の起業家が中心となり、3Dプリンターを活用した安価な人工呼吸器の開発や、施設の入り口などに設置するウィルス除菌トンネルなどの展開も進んでいる。セネガルやコートジボワールなど、西アフリカ各国を中心に除菌トンネルを製造・展開する「CleanTunnel」は、各国での生産や広告などのカスタマイズにも対応することで、より大規模な展開を目指す。

 過去の経験に基づいたリスク対策や早期対応は、政府のリーダーシップが重要な役割を果たした。長期化するパンデミック対応。地元の起業家らの活躍と、ローカルな文脈に合わせた対策が、今後ますます重要になっていくだろう。セネガルや西アフリカの今後の動向にも注目だ。

Text by MAKI NAKATA