ネット求め、ファストフード店の外で勉強する子供 コロナ禍で見えた情報格差

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◆勉強するため、道端に座り込み 木に登ることも
 経済的に貧しい国において、この問題はより深刻だ。たとえば、世界第4位の人口規模を誇るインドネシアでは、学生の3分の1がインターネットにアクセスできない。ニューヨーク・タイムズ紙(9月5日)は、自宅から数キロ離れた道端でインターネットの電波を拾って学習する生徒や、高い木に登って何とかアクセスしようとする学生の姿を伝え、この状況がインドネシアの不平等に拍車をかける可能性があることを報じている。

 インターネットに接続するための試行錯誤は、世界中で繰り広げられている。メディアは、蛇に出くわす危険を抱えながら山に登り、高い木の上でオンライン授業に出席するエルサルバドルの姉妹や(CTVニュース、8月28日)、大学の授業に出席するため一日数時間を木の上で過ごすインドの学生(タイムズ・オブ・インディア、5月18日)などの姿を伝えている。

◆ユニセフ 「世界的な教育の緊急事態」
 こうした現状を、国連児童基金(ユニセフ)は「世界的な教育の緊急事態」だと報じた。ユニセフによると、世界の児童・生徒の3分の1にあたる4億6300万人がインターネットにアクセスできず、オンライン学習を受けることができない。また、オンライン学習を受けることのできない児童・生徒の72%は各国の最貧困世帯で暮らしており、高中所得の国々においてはその割合が86%に上ると報告し、世界的なデジタルデバイドを指摘している。

 一方で、このパンデミックをデジタルデバイドを解消するチャンスにしようという試みもある。アメリカ・オークランドでは、学区内すべての子供にパソコンとインターネット環境を提供するという自治体主導のキャンペーンが開始され、ツイッター社のCEOが1000万ドル(約10億5000万円)を寄付した(マーキュリー・ニュース紙、5月15日)。
 
 学校が閉鎖されて半年以上たつ国もある。子供たちの教育を進めるために、一刻も早い対応が望まれている。

Text by 中原加晴