新型コロナ:若者は加害者なのか、被害者なのか

Francois Mori / AP Photo

◆若者はむしろ被害者?
 上述のフラオー教授は、さらに進んで、若者はむしろ被害者だという見方を示して。なぜなら、ほかの世代と比べ、若者たちは健康に被る影響こそ低いかもしれないが、「経済的および社会的な影響の打撃を全面的に受ける」(同)と考えるからだ。「コロナ危機」がいつまで続くのか、いまもって先は見通せないいま、そこここに増えていくほころびのツケを今後長く払い続けるのは、確かに若い世代だ。

 しかしながら、そもそも世代の問題だと片付けること自体に意味がないと考える向きもある。ル・ポワン誌(8/14)のインタビューに答えた社会学者ゲラン教授の意見がそれだ。同教授は、人々の意識のなかには「世代を超えた連帯感」が存在することを指摘している。その例のひとつは、外出制限令施行中、同じ建物に住む年配の住民に買い物など手助けを申し出た若者が数多くいた事実だ。フランス3テレビ局(8/20)も、多くの若者は、自分のせいで誰かが病気になることを避けたいと考え、「感染対策の決まりを遵守しようと行動している」と報じている。

 価値観の断絶は、むしろ社会的、文化的相違に起因すると考えるべきなのかもしれない。いずれにせよ、世代の問題と決めつけるのは、安直にして早計といえよう。

Text by 冠ゆき