国産布マスクより中国製の使い捨て……「裏切られた」フランスの製造業者
◆国産布製マスクよりも中国製使い捨てマスク
国産布製マスクが売れない原因は、一時期確保が困難となっていたマスクの輸入量が増えたことにある。同じ布マスクなら、輸入物のほうがずっと安い。人件費が違うためで、「チュニジアでは1分8サンチーム(約10円)が、フランスでは50サンチーム(約63円)」かかるためだ(フランス3、5/20)。そのため、3ユーロ(約377円)で売られるトゥフ・コンフェクシオン社の布マスクと同じクオリティをもつ輸入マスクが1.15ユーロ(約145円)で売られていたりする。
だが最も深刻なのは、フランス人が使い捨てマスクを好むという事実にある。これは値段のせいばかりともいえない。なぜなら、使い捨てマスクは確かに布マスクよりも1枚当たりの単価は低いが、平均2、30回洗って使える布マスクのほうが、コストパフォーマンスは断然高いからだ。この傾向は、個人だけでなく企業でも同様で、経済財務省は6月頭、「多くの企業が、中国から輸入されたサージカル・マスクを従業員に配布することを好む」と嘆き(ラ・クロワ紙、6/8)、よりエコロジカルでコストパフォーマンスの高い布マスク使用を企業に呼びかけたほどだ。しかし、残念ながらその効果が上がったという報告はまだ聞かない。