「愛は観光ではない」国境をまたぐ恋人・家族、入国制限に例外求める

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 新型コロナウイルス感染症の流行により、EU加盟各国が域内での国境をまたぐ移動について制限措置を設けたのは3月のこと。物流関係従事者や医療従事者、そして各国の滞在許可証を所持する外国人などの移動は例外とされたが、域内に恋人や非婚の家族を持つ人はそれに含まれず、実質、入国が制限される「観光旅行者」と同じカテゴリーに入れられた。それ以降、国際恋愛中のカップルや法律上非婚の家族は、愛する人と会えないつらさを抱え続けている。

 そんな状況を打破しようと、入国規制に例外を認めるよう求めたムーブメントがソーシャルメディア上で発生した。ハッシュタグは「#LoveIsNotTourism(愛は「観光」じゃない)」。前例のないウイルス対策に苦心する国々は、当事者の愛をかけた必死の想いにどう対応したのか。

◆当事者が発信した「愛は観光じゃない」という叫び
 6月、コロナウイルスの感染状況が落ち着き始めたとして、EU加盟国が入国制限緩和に乗り出した。しかし緩和対象となったのはEU域内の国同士の入国で、他国からの入国は制限されたまま。一方がEU国内に居住し、他方がそれ以外の国に住む恋人同士や非婚の家族たちの入国制限は続き、大事な人に会えない日々が続いた。

 ベルギー在住のエバ・フールナートも、他国に住む恋人に想いを募らせる一人だった。ビジネス・インサイダーによると、情報を探し求めるうちに彼女はソーシャルメディア上でほかにも大勢の人が同じ状況で苦しんでいることを知ったという。そこでエバは、世界中の恋人たちと繋がるために、フェイスブック上で「Love Is Not Tourism(愛は観光じゃない)」というグループを立ち上げた。グループ内には、つらい気持ちを吐露する投稿や、最新の規制情報の共有などが並ぶ。

 その後、#LoveIsNotTourism、そして#LoveIsEssential(愛は必須のもの)などのハッシュタグが広がり、より多くの当事者が同じ苦しみを抱える人たちと繋がるようになった。ツイッター上には、「もう半年以上も恋人と会えていない」「家族に会えず、毎日心が引き裂かれる想いだ」など、悲痛な声が並んでいる。各国のメディアも当事者の切実な状況を報道している。ニューヨーク・タイムズ紙は、ブラジルとドイツで離れ離れになったカップルが今年春に予定していた結婚式をキャンセルせざるを得なくなったことを報じた。ワシントン・ポスト紙も、アメリカで出産した女性が、アイルランドにいる婚約者にビデオ通話で出産の報告をしなくてはならなかった話を掲載した。

Text by 中原加晴

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