マスクのままiPhoneの顔認証できるように NY州の交通局、アップルに要請

AP Photo / John Minchillo

 ニューヨークの交通局は、バスや地下鉄での新型コロナウイルスの感染から乗客を守るため、iPhoneユーザーがマスクを外さなくとも端末の画面ロックを解除できる、いまより優れた認証方式を考案するようアップル社に求めた。

 このたび AP通信は、ニューヨーク州都市交通局(MTA)のパトリック・フォイ代表からアップル社のティム・クックCEOへ宛てた書簡を入手した。そのなかでフォイ氏は、アップル社は最近、マスクを着用したままiPhone端末のロック解除ができるよう認証プロセスを簡略化するアップデートを行ったが、その後も変わらず、交通機関の利用者がマスクを外して顔認識で画面のロックを解除する場面を見てきたと述べている。

 このアップデート以前は、マスク着用のiPhoneユーザーがロック解除を行う場合には、まずは顔認識ソフトウェアがユーザーの顔認識を試みる数秒間ほど必ず待つ必要があり、その後でなければパスコード入力画面にアクセスできない仕様だった。今回のパンデミックに対応して今年5月にリリースされたアップルのiOS 13.5では、ロックがかかった画面をユーザーが下から上に指でスライドさせると、即座にロック解除のパスコード入力フィールドが自動表示される。また、昨年サービス開始した「Apple Pay Express Transit(アップルペイ・エクスプレス・トランジット)」を使うと、一部のバス・地下鉄路線では、端末デバイスを起動させることなくiPhoneやアップルウォッチでの自動料金精算が可能だ。

「アップルが現在この問題に取り組んでおり、ハイテク業界のグローバルリーダーとしてさまざまなテクノロジーを有していることも知っています。私たちはこのパンデミック時代に、顧客のさらなる安全確保に役立つ新技術とソリューションの開発展開を、今後さらに加速していただけるようアップルに要請します」と、8月9日に送付された書簡のなかで、フォイ氏は述べている。

 またフォイ氏は、最近行われたiPhoneの最新の更新の内容をユーザーに確実に周知できるよう、MTAとしても広報分野でアップル社と協力したいとの意向を付け加えた。

 そのうえで書簡は、この件に関してアップル社としてどのような追加の措置が可能か、アップル側の反応を問いかけている。

 パンデミックが最も深刻化した時期には、ニューヨークおよびそのほかの都市でのバスや地下鉄の利用者数は激減した。MTAの当局者によると、ニューヨークでは地下鉄の乗客数が90%以上も減少。さらには地下鉄以外からの収益減少も加わって大きな減収となり、そこでのロスを取り戻すには長い年月を要する見通しだ。ここまでに、乗客数はゆるやかな増加に転じたものの、いまなお、パンデミック前の水準には程遠い。

 MTAは、夜間の地下鉄閉鎖という過去に前例のない手段を含めた積極的な清掃プログラムを押し進めるとともに、全乗客がマスクを着用し、適切なソーシャルディスタンスを確保するよう求めている。交通当局によると、ここ数週間で9割以上の乗客がマスクなどで顔を覆って交通機関を利用するようになったという。

By DAVID PORTER Associated Press
Translated by Conyac

Text by AP