トランプ政権が嫌がるファウチ所長とは? 国民は支持 「国宝」とも
米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は、ホワイトハウスのコロナウイルス・タスクフォースのメンバーだ。科学に基づく見解を冷静に述べ、感染拡大への警戒を緩めない同氏への国民の信頼は厚い。ところが政権内やトランプ支持者からはファウチ氏への批判や排除の動きが出ており、コロナ対策の障害になると懸念されている。
◆感染症の大家 ホワイトハウスは冷遇
ファウチ氏は現在79歳で、医学研究者として50年以上の経歴を持つ大ベテランだ。1984年からNIAIDの所長を務め、HIV、SARS、エボラ出血熱といった数々の感染症について、レーガン政権から現在まで6代の政権にアドバイスを行ってきた。ジョージ・W・ブッシュ大統領からは文民に贈られる最高位の勲章の一つ、大統領自由勲章を受けている。USAトゥデイ紙の社説はファウチ氏を「国宝」と呼び、並外れた専門的知識と優れたコミュニケーション能力を兼ね備えた、感染症分野の第一人者だと褒めたたえている。
ファウチ氏はコロナに関する会見では、常にトランプ大統領とともに現れた。たとえ政権側の話が不正確でも、同氏は常に科学に基づき感染の状況を冷静に伝えてきた。ところが4月24日以後、大統領は公の説明の場に出てこなくなり、ファウチ氏は政権からアラーミスト(不要に人に警告し心配させる人)とレッテルを貼られ、ほとんどのテレビ出演を禁止されてしまった。
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