晒される「カレン」と呼ばれる白人女性たちの暴挙
トランプ大統領就任以来、アメリカの政治的風潮は大きく変わった。オバマ前大統領時代は身を潜めていた白人優位(White Supremacy)を主張する人々が、トランプ氏の台頭で堂々と社会に出てくるようになった印象がある。
このような人々は男女関係なく存在するが、アメリカでは近年、自分を優位な立場に置いて人種差別的行動をする、または社会的ルールを堂々と破る白人女性を「カレン(Karen)」というあだ名で呼ぶことが多い。
大多数の人々がスマートフォンを持つ近年、被害者がビデオ撮影をしてソーシャルメディアに投稿することにより悪行が世にさらされ、加害者が社会的制裁を受けたり、逮捕されたりすることもある。現在、インスタグラムで「#Karen」というハッシュタグを検索すると、83万2000件の投稿が見つかる(なかには本当にカレンという名前の人もいると思われる)。
◆危険にさらされる黒人男性たち
タイム誌(電子版)の記事では、サンフランシスコで自分の家の塀に「BLM(ブラック・ライブズ・マター)」と描いていた際、隣人の白人夫婦から警察に通報された有色人種の男性や、ニューヨークのセントラルパークでバードウォッチングをしていた際、公園内で飼い犬にリードをつけていない白人女性に注意したところ、「アフリカ系アメリカ人の男に襲われた」と警察に虚偽の通報をされた男性の話などが紹介されている(アメリカでは警察に虚偽の通報を行うことは違法)。
A white couple call the police on me, a person of color, for stencilling a #BLM chalk message on my own front retaining wall. “Karen” lies and says she knows that I don’t live in my own house, because she knows the person who lives here. #blacklivesmatter pic.twitter.com/rOpHvKVwgP
— Jaimetoons (@jaimetoons) June 12, 2020
Oh, when Karens take a walk with their dogs off leash in the famous Bramble in NY’s Central Park, where it is clearly posted on signs that dogs MUST be leashed at all times, and someone like my brother (an avid birder) politely asks her to put her dog on the leash. pic.twitter.com/3YnzuATsDm
— Melody Cooper (@melodyMcooper) May 25, 2020
どちらの場合も被害者が撮影したビデオをソーシャルメディアに投稿したため、加害者側が雇用先から解雇されるなどの社会的制裁を受けている。しかし、もしビデオがなかったら通報された側が警察に逮捕されたりする被害を受けることも十分に考えられる。アメリカでは親戚の家を訪ねた際、夜間に敷地内を歩いていたら自警団の男性に殺害されたティーンエイジャーのトレイヴォン・マーティンさんや、白人警察官に殺害されたジョージ・フロイドさんなど、「怪しい」と思われただけで過剰な暴力行為を受け死亡する黒人男性が多く、虚偽に警察に通報されれば黒人男性の命が無用な危険にさらされることもある。このような行動を起こす白人女性が、警察による暴力を黒人男性が受けやすいことを熟知していることはビデオを観ても歴然としている。
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