経済再開と感染急増 ニューヨークとカリフォルニア、何が明暗を分けたのか

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 アメリカで新型コロナウイルスの感染拡大が本格的に始まったのは今年3月だった。それから4ヶ月以上が経ったいま、アメリカは累計感染者数も死者数も世界一という状態が続いている。どの国でも同じだが、気を緩めるとすぐに新規感染者数がアップするので、アメリカでも人々はワクチンが開発されるまで「ウイルスと共存する」選択肢しか残されていないと諦めモードに入った感がある。ジョンズ・ホプキンス大学の統計によると(日本時間22日16時時点)、同国の累計感染者数は390万2135人、死者数は14万2068人となっている。

 そんななか、現時点における感染拡大状況で大きく明暗を分けているのがニューヨーク州とカリフォルニア州だ。人口面では同国最大の2州は、アメリカでの新型コロナウイルス感染拡大当初から多くの感染者が出ていて、とくに一時期感染拡大の「ホットスポット」となったニューヨークは、いまも累計感染者数と死者数で全米1位である。しかしここ数週間ほどは感染拡大のスピードが急速に落ちており、同州は現在経済再開を着実に進めている。
 
 一方のカリフォルニア州は、同州政府が感染拡大予防に関する厳格なルールを敷いたにもかかわらず、ニューヨーク州とは対照的に感染が加速しており、同州公共保健局が公表した7月21日の新規感染者数は9231人、累計感染者数は40万769人と、まもなくニューヨーク州の40万8181人を抜く勢いだ。それでは、なぜこの2州の明暗が分かれたのだろうか?

◆感染者抑えたニューヨーク、経済再開第4段階
 ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ州知事は7月21日、同知事のウェブサイトで最新の同州新型コロナウイルスデータを公表。それによると、同州の21日の新規感染者数は855人、現在の入院患者数は724人。これは同州の一時期の状況と比較すると驚異的に低い数字である。

 また、同州のなかで唯一経済再開の3段階目にとどまっていたニューヨーク市が20日から4段階目に入った。同州再開に関するウェブサイトでは教育やビジネス、スポーツ、メディアプロダクションなどの再開ガイドラインの詳細を記している。

 米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は公共放送局PBSのインタビューで、「的確な方法で対応することで(新型コロナウイルス感染の)ケースを抑えることは可能だ」「ニューヨークで私たちはそれを成し遂げた。ニューヨークは世界中のどこよりも感染が拡大していたが、正しいやり方で対応した」と語り、同州の感染抑止努力を称えた。

 同州では現在、隣接するニュージャージー州、コネティカット州と連携して他州からの移動規制を敷いているほか、無料で受けられる検査も完備。経済再開のガイドラインを厳しく守りながら着実に感染拡大収束に向かっているようだ。

Text by 川島 実佳