欧米に不可解に映る日本の「入国拒否」

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◆説得力のない入国禁止国の選定
 日本の定める入国禁止国リスト129ヶ国には、もちろん現在感染拡大の速度が高まっているアメリカやインド、中南米の国々が含まれる。だがその一方で、台湾やニュージーランド、ベトナムなど、明らかに日本よりパンデミックのコントロールに成功している国も含まれている。

 冒頭で記した欧州の選んだ15ヶ国は、パンデミックの状況がEUと同程度か、あるいはEUよりも良好な国だと明かされている。数値でいえば、「新たな感染者数が過去14日間で人口10万人につき16人(EUの平均数)を超えない」国である。またその他の国についても「2週間おきに(感染状況を)再検討する」意向だ(『ランテルノート』7/1)。

 これに対し、日本が入国禁止国に選んだ国については、メディアでも大きく取り上げられることがないようだ。何を指標にどういう経緯で決定が下されたのか、国民には知るすべがなく、非常に不透明な印象を受ける。

◆日本は中国を踏襲するつもりか?
 上に挙げた、一方的な決定と相互主義の不在、交渉の窓口の狭さ、不透明な動機、メディアの偏った報道といった日本の印象は、実は欧州から見た中国像とぴったり重なるものだ。実際、日本の外国人に対する入国禁止の措置は、中国のそれを踏襲するかのような内容だ。フランスの外務省のウェブサイトによれば、中国は「3月28日から、たとえ有効な査証や滞在許可証を持っていたとしても、外国人の大陸中国への入国を禁止」している。ローラン・ビリ在中国フランス大使は中国在住フランス人にあてたメッセージ(5/29)のなかで、フランスから中国に戻ってこられない人や家族が戻るのを待ち続ける人が何人もいることに言及しているが、これは日本在住のフランス人にもそのまま当てはまる状況である。

 とうに中国とは一線を画したつもりでいるかもしれない日本だが、外から見れば、その不可解な動きは、否が応でも中国を彷彿させるものなのだ。

Text by 冠ゆき