欧米に不可解に映る日本の「入国拒否」
欧州は7月1日から日本を含むシェンゲン協定外の国15ヶ国に国境を開くことを決めた。それとは対照的に、日本は7月1日から入国拒否対象地域に新たに18ヶ国を追加した。世界に逆行するかに見える日本の決定は、国外からみると不可解な点が多い。
◆ロックダウン緩和の流れで国境を開くEU
パンデミックの影響でヨーロッパがシェンゲン協定外の国との国境を閉めたのは3月17日のことで、フランスでは同日から厳しい外出制限を伴う都市封鎖を開始した。その後、フランスのロックダウンは5月11日から段階的に緩和されつつあり、これに伴い、国境制限の見直しも検討され、シェンゲン内の国の行き来は基本的に6月15日から可能となった。7月1日に始まったシェンゲン外からの入国許可は、この段階的な制限緩和の流れのなかに位置するものだ。
◆緩和の流れに逆らう日本の入国制限
一方、日本の入国制限は緩和の流れに逆行するように見える。これまでの経緯を簡単に追うと、2月頭からダイヤモンドプリンセス号の新型コロナ感染拡大を目の当たりにしてきた日本は、2月中には中国一部地域からの入国制限を始めていた。ただし、中国と韓国からの入国禁止を発表したのは、中国の習近平国家主席の訪日延期発表がなされた3月5日になってからのことであった。ここまでの動きは緩やかに見えたが、一旦入国禁止措置を決めた後は、次々に国を指定しリストは膨れ上がる一方となる。具体的には、3月19日に26ヶ国からの外国人の入国を禁止。31日には新たに49の国と地域の感染症危険情報レベルを3に引き上げ、そののち入国禁止国はあわせて73ヶ国に。4月29日にさらに14ヶ国、5月16日に13ヶ国、27日に11ヶ国を追加し、以来7月1日までは111ヶ国からの入国を禁止してきた。
入国禁止措置と並行して、日本では、4月7日に7都道府県に緊急事態宣言を発令、同月16日には対象を全国に拡大する事態となる。その後感染状況の鎮静化に伴い、5月14日には39県で解除、続いて21日には3府県、5月25日には残る5都道県でも解除され、いまのところ全面解除された状態が続いている。
つまり、5月27日の11ヶ国の追加は、緊急事態宣言の全面解除とほぼ時を同じくして発表されたものなのだ。ル・モンド紙の記事(5/27)のタイトル「コロナウイルス:日本は緊急事態宣言を解除。なのに、国境は閉鎖」を見てもわかるように、海外ではいささか理解されがたいニュースだった。
そうして、緊急事態宣言全面解除から一ヶ月以上経つ7月1日、日本はさらにリストに18ヶ国を追加。これにより、日本が外国人の入国を禁止する国は、合計129ヶ国となった。