「日本、コロナに勝利」海外報道も肯定的に「でも理由不明」

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 日本政府は、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を5月25日に解除した。ダイヤモンド・プリンセス号での対応失敗、五輪開催への固執、少なすぎる検査、罰則なしで国民の自粛に頼る甘い行動制限など、海外メディアは数週間前まで日本のコロナ対策に否定的な意見を並べてきた。しかし感染者数が減り、緊急事態宣言解除が視野に入ってきた後、報道に変化が出ている。

◆結果を評価 ポジティブ報道相次ぐ
 英ガーディアン紙は5月22日付の記事で、「大惨事間近からサクセス・ストーリーへ」と見出しをつけ、いまや日本は新たなコロナの成功例であることを強く主張できると述べた。安倍首相の対応より、ウイルスに立ち向かう国民の静かな決意を称賛するとしている。同日付の英テレグラフ紙は、「なぜ日本はイギリスよりずっとうまくやれたのか」という見出しをつけ、同じ島国でもイギリスは欧州一の死者(現在3万7542人)を出したが、日本は驚くほど被害がなく(同858人)、結果はまったく違ったものになったとしている。

 25日付のワシントン・ポスト紙(WP)は、日本のソフト・ロックダウンは事実上終わりとなったとし、新たな感染も減り、病院のベッドにも空きが出て、ついにトンネルの終わりに光が見えたとした。26日付のサイエンス誌は、日本はコロナとの戦いでの少なくとも一時的な勝利を宣言したとし、ポジティブな結果は、日本の対策に懐疑的だった英キングス・カレッジ・ロンドンの公衆衛生専門家、渋谷健司氏さえも納得させたと述べている。

Text by 山川 真智子