新型コロナと出生率:インドネシア、仏で増加、日本で低下か?
ちなみに、フランス国立統計経済研究所(INSEE)によれば、フランスの合計特殊出生率(女性一人が生涯に産む子供の数)は1.87人である。日本と比べれば高いものの、2014年以降は毎年減少傾向にある。出生数でいえば、2014年の81万8565人から2019年の75万3000人へと、5年で6万5千人の差がうまれている。2019年におけるフランスの平均寿命は男性79.7歳に対し女性85.6歳。日本のあとを追うように高齢化社会に向かう同国にとって、ベビーブーム到来は歓迎したい動きであろう。
◆日本:出生数はさらに落ち込む見通し
新型コロナウイルスの影響で出生数増加が予測される国があるなか、逆に出生率の低下が見込まれるのが日本だ。日本の出生率は新型コロナ以前よりすでに低く、厚生労働省推計による2018年の合計特殊出生率は1.42人である。出生数でいえば、2019年は86万4千人と、ピークだった1970年の45%にも満たない。
英フィナンシャル・タイムズ紙が指摘するように、日本を含む先進国においては、経済的要因が出生率に及ぼす影響が大きい。しかし、日本で出生数低下が予想される理由は新型コロナによる経済的な負の要因だけではない。新型コロナの影響で、不妊治療を受ける人が「4月から激減した」ことが大きいのだ。というのも、日本産科婦人科学会によると、日本で2017年に誕生した新生児の16人に1人は不妊治療の体外受精によって生まれている。しかも、「人工授精などほかの治療法も含めれば、比率はもっと高い」と見込まれる。東京のある不妊治療クリニックでは、新型コロナウイルスの感染を恐れ「体外受精を遅らせた患者は約半数」で、院長は「来年以降、日本の出生率は打撃を受けるだろう」と予測する(フィナンシャル・タイムズ紙)。政府は2025年までに希望出生率を1.8に引き上げようと、不妊治療の費用支援の拡大政策をとっている。まさにそのときに新型コロナ問題が勃発した。日本の受ける痛手は経済にとどまりそうにない。
新型コロナの影響は、こんなところでも国の明暗をわけようとしている。
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