新型コロナウイルス消毒液、注意すべき使い方

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 新型コロナウイルス拡散が下火になってきたとはいえ、まだ油断してはならない。手洗い、うがいの励行、ドアノブ、テーブル、食器、その他身の回り品の消毒が欠かせない。抗菌、除菌、殺菌と称する消毒液、漂白剤、食器用洗剤、薬用せっけんなどが多く市販されている。しかし、そのなかには危険なもの、作り方と使い方を誤ってはいけないものがあることに注意すべきだ。

◆火災事故に注意
 消毒殺菌には、エタノール(エチルアルコール)が一般的であるが、現在は品薄で手に入らない。消毒用エタノールには20%程度イソプロピルアルコールが含まれている。これは、酒税を回避するためである。そのイソプロピルアルコール50%水溶液はエタノールと比べて殺菌できる菌種は少ないが消毒用として市販されている。エチルアルコール、イソプロピルアルコールとも有機溶剤であるので、火気には注意が必要だ。実際に火災事故が発生し、東京消防庁は、使用頻度が高くなったアルコール類による火災リスクに対して注意喚起している。さらに、アルコールといえども誤飲事故に気をつける必要がある。

◆経産省、一転して次亜塩素酸水を認める
 経済産業省は4月17日、アルコール消毒液に代わる新型コロナウイルスの消毒液として、「次亜塩素酸水」(塩酸や食塩水の電気分解で得られ、生成装置までが市販されている)を手指用に追加した。従来、次亜塩素酸水は食品の殺菌剤として使用され、手指の消毒には有効性が確認されていないとの理由で適用外とされ、政府はこのことを10日に決定したばかりだった。しかし、ドラッグストアには、手指に使われる次亜塩素酸水が売られており、また歯科医院で、口腔内の殺菌にも使用されていることから、有識者からの指摘も受けて、急遽、手指を消毒対象に追加した。政府の対応はいささか行き当たりばったりの感がある。

 水道水の殺菌は、塩素ガスを用いるのが一般的であり、塩素が水と反応すると次亜塩素酸(水道水のカルキ臭)が生成するので、水道水は低濃度の次亜塩素酸水となっている。この次亜塩素酸は不安定なため分解(専門用語だが原子状酸素が発生)し、それにより殺菌作用が発現すると説明されている。したがって、市販の次亜塩素酸水は開封したらなるべく早く使い切り、有効期限内に使う必要がある。

Text by 和田眞