犬がコロナ感染者を嗅ぎ分ける? 英団体が訓練を開始

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 イギリスの慈善団体「メディカル・ディテクション・ドッグズ」は、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院とダラム大学と提携し、新型コロナウイルス感染者を犬に嗅覚で探知させる訓練の準備を始めた。

◆犬の嗅覚は人の40倍
 2008年に設立されたメディカル・ディテクション・ドッグズは、人の40倍のキャパシティを持つという犬の嗅覚を利用して、疾患を持つ人用のアシスト犬や、医療探知犬を訓練している。病気を臭いで探知するというと、雲をつかむ話のように思えるかもしれないが、病には実際に体臭を変化させるものがあるのだ。たとえば、パーキンソン病の臭いを嗅ぎ分けられるスコットランド女性の話は有名だ(BBC)。

 同団体でも、すでに、パーキンソン病のほか、がん、マラリア、細菌感染症を探知する犬の訓練を行っている。ロンドン大学衛生熱帯医学大学院の疾病管理部門責任者であるジェームズ・ローガン教授は、2019年5月にロンドンで行ったTED講演で、マラリアにかかった子供とそうでない子供が履いた靴下を訓練犬フレイアに嗅ぎ分けさせ、訓練の成果を披露した。同教授によれば、訓練された犬がマラリア罹患者を探知する確率は81%、非罹患者を探知する確率は92%と非常に高いものである。

 また、犬の嗅覚は「皮膚の微妙な温度の変化も嗅ぎ分けられるため、発熱の有無も知らせることができる」(メディカル・ディテクション・ドッグズ)。そのため、体調の変化に気づくのも早く、アシスト犬として活躍できるのである。

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Text by 冠ゆき