ドイツ医師ら、裸で防護服不足を訴え「私たちはこうなってしまう」

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 ドイツでは、全国レベルで約1ヶ月間続いたロックダウンの解除が、4月20日から段階的に始まった。同国は新型コロナウイルス感染症への対策が成功していると高く評価されているものの、まだ油断はできない。

 日本では感染拡大により医療現場での防護服不足が各地で目立ち、寄付を募っている。ドイツでも防護服が不足している。不足は数ヶ月に渡り、医師たちはマスクや白衣を自分で作ったり、作ってもらったりして切り抜けている。この不足を解消しようと、医師たちが集まって署名運動を打ち出した。

◆医師たちの先に危険が迫る
「ブランケ・ベデンケン(明らかな懸念、ブランケには「裸の」の意も)」と名付けたこの運動は、ドイツの家庭医(病気やケガのときに最初に行くかかりつけ医)たちが、政府による防護服の確保や、医療活動をサポートする法制定を求めようと始めた。各自が裸になって自分の診療所で写真を撮り、キャンペーンのサイトで公開し、「いまある数少ない防護服がなくなってしまえば、私たちはこんな姿になってしまうでしょう」と、防護服なしでは医師たちがいかに無防備になるかをアピールしている。

【写真】防護服不足を訴える医師たち

 参加したい医師たちはサイト宛てに写真を送る。名前や役職は公開されないが、誰が写っているかは通知する必要がある。

 医師たちは、感染の疑いがある人のために発熱外来を設けたり、感染相談時間を特設したり、電話、メール、ビデオでも相談を受けつけてきたのに、自分たちは長い間、放っておかれたとサイトで述べている。

 政府には、たとえ緊急事態下であっても、長年に渡って診療してきた自分の患者たちを大切にしなければならないということも認めてほしいとし、具体的には、最長2週間の自宅待機の指示(診断書の発行)を電話でできるという特別の取り決めの継続を要求したいという。この取り決めは、ロックダウンの段階的解除に伴って終了となるはずだったが、医療関係者の反対意見が多く、目下、5月初めまでは実施できることになっている。

 署名運動のヒントは、フランスに住むアラン・コロンビエ医師から得た。コロンビエ医師は、感染が拡大するなか、家庭医に対する支援が不十分なことに抗議する意味で、裸姿で自分の診療所にいる写真を公開した。

 運動は4月18日から始まり、4月末現在3000人以上が全国から、そして周辺諸国から署名している。そのうち、28%が自分も同じ状況にいる人たち、17%が将来その状況になり得る人たち、16%がそういう状況にいる人を知っているという人たちだ。目標署名数は5万人。5月24日まで署名を受けつけている。

Text by 岩澤 里美