新型コロナ、アフリカン・ソリューションへの希望

Jerome Delay / AP Photo

◆アフリカの文脈における画一的対応策の限界
 アフリカ各国政府の早期対応は評価すべき点だが、ロックダウンやフィジカル・ディスタンシング(ソーシャル・ディスタンシング)、またWFH(リモート・ワーク)といったグローバルな施策には、当然限界もある。ロックダウンの影響を最も大きく受けるのは低所得者で、収入の停止が生命維持リスクに直結する。『Quartz Africa』は、ナイロビやラゴスのインフォーマル・セクターの労働者たちが生きていくためには、動き続け、働き続けるほかに選択肢がない現状を伝えている。さらに、スーパーマーケットの営業やゴミ収集などの生活インフラを支える低賃金の「エッセンシャル・ワーカー」たちは、自らを健康リスクに晒している。

 オランダ発のデジタル・メディア『The Correspondent』で、ナイジェリア人特派員のOluTimehin Adegbeyeが報じているが、たとえばナイジェリアの首都ラゴスでは、住人の多くがインフォーマル・セクターで生計を立て、密集した居住空間で暮らしており、フィジカル・ディスタンシングがまさに物理的に困難で、非現実的であることを指摘している。ウイルスを阻止する解決策と、アフリカの文脈における課題解決の鍵を握る集結したコミュニティ力は、真っ向から矛盾してしまう。

◆いまこそ必要なアフリカン・ソリューション
 米タフツ大学の世界平和財団(World Peace Foundation)の所長であり、アフリカにおける人道支援、人権、HIV/AIDS、ガバナンスなどを専門に研究するAlex de Waal教授は、同財団のサイトで発表した小論において、アフリカのコロナ対策において考慮すべき、以下3つのポイントを提示した: 1)各国の人口分布を見込んだ対策検討、2)(感染拡大のスローダウンを目的とした)ロックダウンがアフリカの各国の文脈で効果を出すための条件の見極め、3)コミュニティとの協議を踏まえた政策決定だ。他地域の事例に基づいたベスト・プラクティスや証拠よりも、政治やイデオロギーが課題解決の推進力となると彼は指摘する。多少時間がかかってもコミュニティとの協議が、より現実的でクリエイティブな対策の考案につながるという考えだ。

 土地の文脈に基づいた、アフリカ発の対策は「脱(ネオ)植民地化」の意思表示でもある。4月16日、汎アフリカ視点でニュース・調査・論点を発信するウェブメディア『African Arguments』に、ノーベル文学賞受賞者のナイジェリア人作家ウォーレ・ショインカを筆頭にアフリカ各国の識者100名が署名した、アフリカ首脳陣宛の公開書簡が掲載された。「北半球」発の対策を押しつけるのではない、アフリカの人々と優先順位に沿った対策の必要性にも触れつつ、「アフリカ大陸が、その運命を自分たちの手に取り戻さなければならず、いまこそ新しい、革新的な方向性を模索し、長続きする解決策を取り入れるべきだ」というメッセージを訴えた。

 同様に、ロンドンのキングス・カレッジでアフリカの安全保障とリーダーシップの研究家として教鞭を取るDavid Mwambari教授は、4月15日付の『Al Jazeera』の記事で、パンデミックがアフリカの脱植民地化を促進するとの持論を展開。アフリカが主体性を持つというメッセージ性も重要だが、貿易条約の見直し、製造業への投資、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA: African Continental Free Trade Area)の発動による大陸内貿易の活発化などを通じて、北に依存しない経済圏の構築を目指す機会だと主張した。

 ウィズ・コロナ時代、誰もが課題解決と未来の舵取りを模索している。全世界が同じ課題に向き合ういまだからこそ、アフリカが「世界の助け」を借りることなく、自分たちの未来を作り、世界に発信するアフリカン・ルネサンスの兆しに期待したい。

Text by MAKI NAKATA

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