感染予防:顔を触らないようにするヒント 「触らないで!」警告サイトも
◆顔触りストップのヒント
では、この無意識の動作をどうやって減らせばいいのだろうか?
心理社会学者ドミニク・ピカールは、「マスクを着用することは、顔を触ってはいけないということを意識するのに役立つ」と指摘する(ル・モンド紙)。上述のニューサウスウェールズ大学の研究結果に、「粘膜との接触中36%(372回)は口、31%(318回)は鼻」とあることを思うと、口と鼻を覆うマスクのブレーキ効果は高いと思われる。
逆に手袋を装着するという案も考えられるが、手袋をはめた手であちこちを触ってしまえば、結局は素手で触るのと同じことである。
女性の場合は、化粧をすることもバリアとなり得る。実際、上述の早稲田大学ほかの研究は、化粧をしている女性は、男性よりも顔に触れる回数がずっと低かったことを指摘している。
そのほか、アメリカの学術医療センター、クリーブランドクリニックは、ストレスボールやフィジェットスピナーなど、常に手に何かを持つこと、また、どうしても顔を触りたくなったら、ティッシュを持って触ることを勧めている。
◆リモートワーク中に試したいアプリ
それでもどうしてもコントロールできない場合は、ウェブサービスを使用するという手もある。たとえば、「顔に触れないでください」というサイト「donottouchyourface.com」はどうだろうか。使い方は簡単で、ウェブ上でサイトにアクセスし、ウェブカメラを利用して、手を触れていない状態の顔と手で触っている状態の顔を認識させればいいだけである。そのままPCに向かって作業を続けていて、無意識に顔に手をやってしまうと、PCから「NO!」の声と「Do Not Touch Your Face(顔を触らないでください)」という通知が画面に届くという仕掛けである。ウェブカメラを使うが、「分析もアラートもすべて持ち主のコンピュータ上で行われ、インターネット経由で送信されることはない」(ガーディアン紙)ので、個人情報の点でも安心である。
試してみると、数秒の時差はあるが、顔や髪に手をやるたびにパソコンから「NO!」の声が確かに聞こえてくる。大抵は触ってしまったあとなので予防という点ではいまひとつに思えるが、リマインダーの役目は果たしそうである。窓を背にした逆光状態で使うと誤動作が見られたので、カメラが顔をきちんと捉えられる均等な明るさのなかで使うよう注意したい。
万能ではないものの、在宅ワークなどでひとりパソコンに向き合うときに利用すれば、顔を触る習慣を減らせるかもしれない。しかも、中座するたび、なぜか「NO!」と叱られるので、仕事の効率アップにも役立つかもしれないという特典(?)つきである。
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