感染予防:顔を触らないようにするヒント 「触らないで!」警告サイトも

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 世界保健機関(WHO)をはじめ各国保健機関が指南するように、手洗い、うがいのほか、顔、とくに目・鼻・口の粘膜に触れないことは、新型コロナウイルスを含むすべての感染症予防の基本である。これをやめるにはどうすれば良いのだろうか? 

◆人はどのくらい顔を触っているのか?
 手で顔を触らないというのはとても簡単に思えるが、案外守るのが難しい。実際、フランス厚生省の機関ARSによれば、人が顔に手を当てる回数は、一日約3000回にも上るという。早稲田大学などの研究者らが2019年「E3Sウェブ・オブ・カンファレンス」に発表した研究も、人が「顔に触れる回数は一時間平均17.8回だった。すべての接触のうち粘膜接触は42.2%だった」と明らかにしているし、シドニーのニューサウスウェールズ大学が2015年にアメリカン・ジャーナル・オブ・インフェクション・コントロール誌に発表した研究も、「26人の学生被験者は平均一時間に23回顔を触った。顔を触った全体数のうち44%(2346回中1024回)が粘膜との接触を含んだ」と報告している。

 人は、ほとんど無意識のうちにかすかなかゆみを感じて、目をこすったり、顔を掻いたりしているのだ。記号学者エロディ・ミエルザレックによれば、「かすかなかゆみは、ほとんど生理的なもので、自分で制御するのは難しいもの」であり、「掻くことで、緊張を開放している」のだ。つまり、感染症の拡大というストレスを全人類が抱えている現在、「いつもよりさらに緊張緩和のためにかすかなかゆみを感じる傾向にある」ということだ(ル・モンド紙)。

Text by 冠ゆき