コロナ危機に復活、癒やしの妖怪アマビエ 米誌「日本ならわかる」
◆キャラ好き日本人 妖怪も身近な存在
ニューヨーカー誌は、アマビエをパンデミックのマスコットだと表現。そもそも日本人はキャラクター好きで、ハローキティやピカチュウ以外にも、町中にキャラクターがあふれ、地方にはそれぞれのゆるキャラがおり、自衛隊、検疫所まで独自のキャラクターを採用していると紹介。よっていまのような困難な時期に、日本人がキャラクターに癒やしを求めるのは理解できるということだ。
また、古代から数々の疫病を経験した日本は、治療薬やワクチンがない時代には、見えない脅威からの庇護を超自然的なものに求めてきたと述べる。その一例が奈良の大仏で、建立の目的の一つが天然痘の流行を抑えるためだったと説明している。
同誌は、妖怪も見えない超自然的な力の一つだとし、不可解な出来事や不気味な現象の裏にある顔として、民話、歴史、文学にたくさん登場しているとする。喜多川歌麿や北斎なども妖怪を描いたし、水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』は60年代にブームを起こした。寿司のかっぱ巻きはキュウリ好きの妖怪から名前を取っているし、人気ゲームソフト『どうぶつの森』のたぬきちも、多くの民話で化けて出るタヌキに基づいていると述べる。アマビエが漫画やビデオゲームのキャラクターに似ているのも偶然ではなく、日本人にとって妖怪は親しみのある存在だと見ている。
◆コロナ下の希望 癒やしと絆を人々に
海外メディアは、アマビエが日本人の希望を背負っていると指摘する。ガーディアン紙は、故水木しげる氏が描いたアマビエ原画を水木プロダクションが「現代の疫病が消えますように」とツイートしたことを紹介。ソーシャルメディア上でシェアされるアマビエの絵が、不確実な現在に慰めと癒やしを見つける希望になっていると解説している。
「アマビエ」です。水木しげるの原画を撮影しました。
江戸時代、熊本の海に現れ「疫病が流行ったら私の写し絵を早々に人々に見せよ」と言って海中に姿を消した妖怪、というより神に近い…もの。
現代の疫病が消えますように。 pic.twitter.com/0P7HfyRe8h— 水木プロダクション (@mizukipro) March 17, 2020
エンタメサイト『MEA Worldwide』は、妖怪アマビエは希望のない雲の中の希望というかがり火を意味する述べ、いまの世界を脅かすコロナウイルス危機とアマビエの伝説に人々が類似性を見つけたため、脚光を浴びたのだろうとしている。
ニューヨーカー誌は、手洗いや隔離で健康は守れるが、喜びとは別の問題だと述べる。アマビエを描くことで、隔離された人と人とをつなげることができるなら、「私の絵を見せよ」というアマビエのお告げは、まさにその役目を果たしているのだろうと記事を締めくくっている。
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