警察との衝突、抗議デモ……強制力伴うロックダウンのリスク

Rajesh Kumar Singh / AP Photo

 新型コロナウイルスが日本でも身近な脅威となるなか、最近、「Lockdown(ロックダウン)」という言葉が世界で注目を集めている。ロックダウンは抑留や監禁、閉鎖などを意味するが、いま話題の文脈では都市封鎖を指す。
 
 ロックダウンは、中国だけでなく、米国やイタリア、フランスやインドなど各国で強制力を伴う都市封鎖として実施され、市民は外出禁止など行動の自由を大幅に制限され、違反すると罰金などを課される。一方、フランスやインドなど各国ではロックダウンの期間が延長され、それに伴う問題も浮上している。

◆各国で見られるロックダウンによる影響
 ロックダウン以降、世界では警察と市民との間でいつくもの衝突が発生している。たとえば、3月27日に外出禁止令が発出されたケニアでは、外出禁止令を守らなかったバイクタクシーの運転手が警察官に殴られて死亡する事件があり、治安当局が外に出ている市民に対して催涙ガスなどを用いて強制排除に出るなどした。

 インドでは、食料品を買うため外出していた市民が警察官に見つかって棒で容赦なく叩かれ、腹筋や腕立て伏せなどを強要される姿が目撃され、警察の職権乱用だとして大きな社会問題となっている。

 ブラジルのサンパウロ中心部では、新型コロナウイルスに伴う隔離政策に反発する市民らが、「もう隔離政策は止めろ! 俺たちを働かせろ!」などと知事の辞任を求める抗議デモを起こした。

 一方、まったく外に出られないというストレスから、家庭内暴力や離婚が世界的に増加している。英国の慈善団体の調査によると、ロックダウン開始以降、家庭内暴力の相談件数は通常より25%も増加しているという。普段は朝から夜までオフィスで働く夫は家での仕事を余儀なくされ、家事や子供の世話も重なってストレスが増しているという。

Text by 和田大樹