スマホ位置情報、コロナ対策に活用 欧米でも理解広がる

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◆米仏も追随? 理解を示す声多数
 個人の自由重視のイメージが強いアメリカでも、感染食い止めのためなら、携帯情報の利用に理解を示す人が増えているとウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)が伝えている。3月末に2000人を対象に行われたハリス世論調査では、ソーシャルディスタンシングが遵守されているかを確認するため、政府が匿名化された携帯の位置情報にアクセスすることに賛成だと60%以上の成人が回答している。さらに71%が、近くに感染者がいるなどの警告を受けるために、自分の携帯の位置情報データを喜んで当局に提供すると回答している。

 フランスでは、感染者と接触した人を特定するために携帯データを使用すべきか議論されている。カトリック系日刊紙ル・クロワは、中国式は無理だが韓国式は検討の価値があると見ている。現在の行動制限が終了し、ワクチンができるまでの間、感染の第2波を防止することに役立つのではないかと見る識者もいる。アプリ開発などのシステム構築自体は1週間もあれば十分だという。

 しかし、個人情報保護の点で、ハードルは高いという見方もある。個人の監視には法律が必要で、適切なフレームワークが作られなければ、個人データの利用は欧州ルール、とくにEU一般データ保護規則に抵触する可能性があるという。賛成する政治家からは、期間限定で行う、第三者機関に委託する、希望者だけの任意ベースで行う、などの意見も出ている(ル・クロワ)。

◆コロナ後も続く? データ利用への懸念
 実は、アメリカではすでに連邦、州、ローカル政府が、ソーシャルディスタンシングが守られているか、どこに人が集まっているかなどを把握するために、数百万の匿名化された携帯の動きについての報告を受けているという(WSJ)。キャリアが持つ携帯データは法律で保護されているが、現在政府が利用するのは、規制の緩いモバイル広告業界からのデータだということだ。エド・マーキー上院議員のように、慎重に限定しておかなければ、位置情報が非常にセンシティブな個人情報を漏らしてしまう結果になると警鐘を鳴らす政治家もいる(CNET)。

 フランスでは、感染者の接触があった人々を探し出すためには、人口すべての位置情報を集める必要があると弁護士のヤン・パドバ氏は指摘する。すべての人の動きを追跡するのは行き過ぎだと同氏は述べ、一度始めれば元には戻れなくなると懸念する。一度データソースを手に入れたら、それを手放す国はないと述べ、携帯情報の利用に慎重な姿勢を示している(ル・クロワ)。

Text by 山川 真智子

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