封鎖社会で人々はどのように励まし合うのか? 国を超えて共通点
◆時間と心を満たすヴァーチャルアートツアー
ヨーロッパでは、アムステルダムのファン・ゴッホ美術館、パリのルーブル美術館、オルセー美術館など多くの施設が、ネット上でのヴァーチャルツアーを提供している。施設の閉鎖と休演を余儀なくされたフィルハーモニー・ド・パリやパリ・オペラ座も、家にこもる国民のため、過去のコンサートやバレエ舞台の無料視聴をネット上で提供しはじめた。
このあたり、いかにも文化の国フランスという印象を与えるが、実は中国でも同じことがなされている。中国のグローバル・タイムズ紙は、武漢封鎖後の1月30日に、上海文化観光局が複数の博物館のヴァーチャルツアーの提供を始めたとツイートしている。実際には、上海だけでなく、中国の大手SNS微信で配信されたように、同国のおもだった施設複数のヴァーチャルツアーが可能となっている。そのほか中国では、室内楽のオンラインコンサートも多く配信されている。
◆SNSではバルコニーと自宅が舞台に
厳しい外出制限が敷かれているイタリアやスペインでは、バルコニーがにわかに舞台として脚光を浴びた感がある。イタリアでは隣近所と即興演奏に興じたり、マカレナを近所一体で踊ったりする様子などがSNSで散見された。
アーティスト個々人の動きも多い。たとえば、フィレンツェでは、テノール歌手マウリツィオ・マルキーニがバルコニーで熱唱する様子が話題になった。フランスでは、プロのピアニストやヴァイオリニストらが、日替わりでSNSに自宅で撮影した演奏動画を投稿したり、舞台俳優ファブリス・ルッキーニが即興の独り語り録画を公開したりしている。
同じく中国でも一般市民が微信を通して、屋内でのフィットネス方法、書道や伝統工芸、凝った料理などを披露する動きが見られた。