なぜトイレットペーパー? 世界各地で買い占め パニック時の消費者心理とは
♦︎なぜトイレットペーパーに集中?
では、数ある商品のなかでトイレットペーパーに需要が集中しているのはなぜだろうか?
イギリスのスコッツマン紙は消費行動に詳しいロハン・ミラー博士の見解として、万一隔離生活を送ることになった場合を想定し、人々はいくらかの快適性を確保したがっているのではないかと論じている。本来は水や食料よりもずっと優先順位が低いはずのトイレットペーパーだが、最低限の生活水準を維持したいという意識から多く買われているのではないかと博士は分析している。
需要殺到のもうひとつの意外な要因となっているのが、そのサイズ感だ。BBCは豪グリフィス大学のデブラ・グレース教授による見解として、その体積が不安の引き金となったという説を紹介している。たとえば食品の缶詰が50缶ほど売れたところで、売り場に占める規模は知れているため、店内の見た目へのインパクトは限定的だ。
ところがトイレットペーパーが同じく50パックほど売り場から消えれば、棚に大きな空きができ、売り切れるのではないかという不安を呼び起こす。手に入れたいという群集心理が働き、買い溜めを加速してしまうというわけだ。