貴重な中国人留学生が消える…悲鳴あげる大学 新型肺炎で戻れず
◆学生戻れず 収入源に大学側大慌て
ところが中国国内でのコロナウイルス感染拡大を受けて、各国が中国からの入国制限を始めたため、大学に戻れなくなった学生が出てきている。アメリカは入国前の14日以内に中国での滞在歴がある外国人の入国を1月31日から禁止した。これによって春節を利用し帰郷していた学生が戻れなくなっているが、入国制限開始前にすでに学期が始まっていたため、ほとんどの学生がキャンパスに戻ってきているということだ。ただし感染が収まらず入国規制が年度末の5月、6月ごろまで続けば、翌年の在籍者数に大きな影響を与えるだろうとカリフォルニア大学サンタバーバラ校のディック・スターツ教授は述べている(フォーチュン誌)。
夏休みがコロナウイルス感染拡大と重なったオーストラリアでは事態はより深刻だ。2月1日から中国からの入国制限を行っているが、ほとんどの中国人学生が春節で帰国していたため、5万人以上が戻れなくなっているとフォーチュン誌は見ている。CNNによれば、2017年の豪大学の収入の23.3%は留学生受け入れによるものだった。このままだと中国人留学生は今学期を休学することになるが、短期的に見れば20~30億豪ドル(約1470〜2200億円)の収入が滞ることになる。さらに、休学した学生がいっせいに戻れば収容能力にも限界が出ることを大学側は懸念しているという。
ニュージーランドでも2月2日から入国不可になっており、1~2月に始まる新年度に多大な影響が出ると見られている。大学全体では1億7000万ニュージーランドドル(約120億円)の減収になるうえ、入国できない新入生が他国の大学に行ってしまえば、次の数年分の収入を逃すことになると同国の大学を代表する団体、Universities of New Zealandのクリス・ウェラン氏は危機感を募らせている。同団体は学生だけでも入国制限を解除すべきと政府に訴えているが結論は出ていない(ガーディアン紙)。
◆今後の留学にも影響? 中国進出した海外大にも打撃
CNNは、コロナウイルスの影響はSARSのときよりも大きいのではないかと予想する。中国経済が悪化すれば、中国人の親は子供の教育費を減らさざるを得ないため、海外留学そのものが減少する。また、オーストラリアなどでは反中感情も高まっており、差別が感じられる国への留学を避けたくなるのが親心だと学生の一人は話している。
中国国内では、政府が学校の新学期開始を延期しているが、中国にキャンパスを持つ海外大学なども授業ができずに困っているという。ニューヨーク大学上海校では、オンライン授業に変更したり、学生たちにアメリカに戻るように勧めたりしており、少なくとも3月1日まではキャンパス閉鎖だという。感染収束のめどが立たないなか、多くの大学が今学期自体をキャンセルすることも念頭に対応を検討しているということだ(フォーチュン誌)。
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