新型肺炎、長期化で懸念される日本人へのリスク

Koji Sasahara / AP Photo

◆感染源国というイメージが拡散して狙われるリスク
 前回の論考で筆者は、「新型コロナウイルスが長期化すればするほど、各地からシノフォービアの声は強くなる」と述べた。一方で、日本人にとってのリスクは1段階高まったと言えよう。

 現在、日本(クルーズ船の乗客・乗員含む)は中国を除くと感染者最多国となっている。感染は北海道から沖縄にまで及び、中国への渡航歴もない日本人の間でも感染が広がる事態となっている。筆者も通勤の際にはマスクを使っているが、毎年流行するインフルエンザのような状況だと感じる。

 そして、横浜港に停泊中のクルーズ船の問題で、日本の危機管理に対して世界から疑問や反発の声も増えており、日本を中国同様の感染源国とするような風潮も少なからず広がっている。すでに、ミクロネシア、キリバス、ツバル、ニウエの南太平洋4ヶ国は日本からの直接入国を禁止している。

 筆者が懸念するのは、「現在の長期化」である。終息への兆しが見えず、この状態が長引けば長引くほど、ミクロネシアなどのような国や、入国を全面的に禁止する国が増えるだけでなく、海外にいる日本人を意図的に狙った差別や嫌がらせなどが増える恐れがある。

 とくに、近年、多くの日本人が生活する欧米諸国では、移民や難民への風当たりが強くなり、イスラム教やユダヤ教権益(教徒)を狙ったヘイトクライムだけでなく、無差別なテロ事件も急増し、大きな社会問題となっている。それに比べると、アジア系住民への事件は少ないが、極右主義者や白人至上主義者にとって都合の悪い存在となれば話は別だ。

 先月以降、コロナウイルスに端を発する一連の差別や嫌がらせでは、中国というレッテルで日本人が巻き込まれるリスクがあったといえる。だが、状況は悪化し、その長期化は、日本人が直接狙われるリスクを高める。実際、そういった形で被害を受ける日本人は少数かもしれないが、日本が感染源国と認識されればされるほど、海外にいる日本人にとってはより危険なリスクとなる。

Text by 和田大樹

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