出生数90万人割れ 海外が指摘する日本特有の事情
2019年の日本の出生数が前年比で5.9%減少し、推計86万4000人となった。1899年の統計開始以来、初の90万人割れとなり、予想されていた減少ペースを上回る結果となった。その一方で死亡数は戦後最高を記録し、人口の自然減は初めて50万人を超えた。政府は少子化対策を打ち出し、移民受け入れにも舵を切ったが、いずれも大きな効果は期待できないという声が海外メディアから聞こえる。
◆令和も影響? 出生数大幅に減少
サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙(SCMP)は、高齢化を伴う出生率の急低下は日本では大きな問題となっているが、今年急に子供が生まれなくなった原因を特定するのに専門家は苦労していると述べる。ちょっとした回復はあったものの、ここ20年で出生率は確実に低下してきた。経済的要素がおもな理由だとされており、上がらない賃金、雇用の不安定さの拡大、そして日々の出費の増大などが重なって、人々が子作りを遅らせるようになったとされてきた。
しかし、東北大学の吉田浩教授は、今年の出生数の急減については、特異な理由があるとする。同氏は、ここ数年、出生率は徐々に上がっていたと指摘し、それは結婚を先延ばしにしていた人々がついに結婚し家庭を持ち始めたことが理由だったと見ている。そしてこのトレンドが今年で一息つき、今後は徐々に出生率が低下すると予測している(SCMP)。
もう一つの理由は、1971年から1974年の間に生まれた「団塊ジュニア」が40代半ばに達しており、出産期にある女性が減ったことだとされている。また確証はないが、「令和」の時代になってから子供を産みたいという人が、一時的に出産を控えた可能性もあると見られている(SCMP)。
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