恋人が複数人いる、ポリアモリーな関係とは?

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◆実は新しくないポリアモリー
 ニューヨーク・タイムズ紙の年間ベストセラーにもなった、クリストファー・ライアン氏とカシルダ・ジェタ氏の著書『性の進化論――女性のオルガスムは、なぜ霊長類にだけ発達したか?』(原作:Sex at Dawn: How We Mate, Why We Stray, and What It Means for Modern Relationships)は、進化生物学・心理学、人類学などの専門分野の知見をもとに、人類20万年における性の進化や欲望のあり方について書かれている。現在の社会で、一夫一婦制が正しい結婚の形とされていることについて、宗教的、政治的、文化的に「そうであるべき」と抑圧しているものに過ぎず、進化学的には真逆であると訴えている。人間のセクシュアリティに関する認識を改める機会となる内容になっている。

 俳優ウィル・スミスの娘である18歳のウィロー・スミスは、フェイスブックのトーク番組『レッド・テーブル・トーク』において、男性と女性の両方が好きで将来は自分自身もポリアモリーな関係を持つことが想像できると話した。彼女はモノガミーな関係について「自由がなく、それはすべて恐怖に基づいている」と答えている。

◆新たな関係性として
 複数のパートナーがいることは、喜びをより多くの人と共有できることを意味するが、必ずしも良いことだけではない。むしろ、複数の人と同時に付き合うことの方が、より大変かもしれない。カウンセラーのアレックス・サンダーソン・ショート氏によると、自分が良いと思っていてもポリアモリーという関係性を正しく理解していない周りの意見に対処することは難しいと言う。またその関係を隠すことがストレスになったり、人間関係に影響を与えたりする可能性もある。また、嫉妬は別の大きな問題になりえる。ショート氏は「ポリーの人が嫉妬しないというのはよくされる誤解ですが、そんなことはありません! 常にオープンで定期的なコミュニケーションをとることを学び、明確にどこまでを許し、どこからが許されないのかの境界線を引くことが大事」と話した(英誌ハピフル)。

 いままで社会や周りの環境により「一夫一婦制」が当たり前と考えていた人たちも、ポリアモリーという言葉をメディアで目にすることが増えたり、実際にポリアモリーで良い関係を築いているカップルに出会ったりすることで、改めて考え直し、認識を変えるきっかけを得ている。

 ポリアモリーについては賛否両論あるが、いまある常識をそのまま受け入れるのではなく、よく考え本質を見極めようとする姿勢が大切ではないだろうか。そのうえで、自分にあった人との付き合い方をすれば、どちらを選んでも間違いではない。それは、社会やメディアから「正しい」と植えつけられた考えに疑いを持って考え、自分なりの答えを出すことである。

Text by sayaka ishida