国別ブランドランキング、日本2連覇 見直される日本の伝統的価値観
◆多彩な観光資源 SNSで情報拡散?
調査の報告書では、日本のブランド力の裏にあるのは強い文化の発信だと指摘されている。ブランド力によって、単に好ましい認知を得るだけでなく、観光、投資、物やサービスの購入といった実際のアクションを生み出すことが必要だが、日本の場合、それが観光において成功しているとする。日本の豊かな文化が世界中の観光客を誘っており、観光収入において6年連続で二桁成長している点を指摘している。
ソーシャルメディアでの言及も、今年のブランドランキング上位10ヶ国において、2番目の多さとなっている。他国では自然美に関するものが最も多い話題だが、日本の場合、アトラクション、食べ物、伝統、芸術文化などと多岐にわたり、さまざまな顔を持つ日本の姿が明らかにされているということだ。
◆こんまりブームも貢献? 日本は無駄のない国
フォーブス誌によれば、前回調査ではコンシューマー・エレクトロニクス、自動車などの専門性が高く評価され、テクノロジーとイノベーションが日本の推進力だとされていた。今回調査でもソニー、任天堂、トヨタ、日産などをはじめとする自動車、テクノロジー系の評価は高かったが、これらを上回る評価を得た消費者ブランドが、日本のユニークな伝統文化を利用した、ユニクロ、MUJI(無印良品)、近藤麻理恵、NOBU(寿司)だとされている。5~10年前には知られていなかったが、いまや思慮深いデザイン、熟考の上での空間、意識的な料理など、日本文化の要素を海外に発信するものだと評価されている。大量の商品を消費者に売りつける西洋文化に対し、日本文化はシンプルさ、明快さ、メンタル空間、という幸福な選択肢を提示したということだ。
なかでもMUJIは、ミニマリスト的アプローチで世界から高評価を得ている。多くのデザイナーが売るために複雑で新しいものを作ろうとするが、同社のアプローチは、アンチデザイン、アンチ消費とみなすこともできるとフォーチュン誌は指摘。この逆張りが成功の原因だと見ている。
さらに報告書は、いまではトレンドの「タイニーハウス(小さな家)」のコンセプトも日本では先行していたし、物を無駄に持たないことによる質の高い生活も日本が教えてくれたものだとしている。実際に日本人が皆そんな生活をしているわけではないが、このあたりは断捨離を世界的ブームにした近藤麻理恵さんの影響が大きそうだ。