増える「感情支援動物」の機内同伴 米運輸省、基準明確化へ

AP Photo / Julio Cortez

 アメリカ政府は、乗客が航空機に持ち込むことができる動物を管理するにあたって、今後どのような規則を設けるかを航空会社と乗客に向け説明している。

 アメリカ運輸省は8月8日、航空会社の乗務員が安全を脅かすと判断される動物の持ち込みを禁止することができると発表した。しかし、航空会社がピットブルなどのすべての犬種や猫種の持ち込みを禁じた場合には、罰則が科される恐れもある。

 運輸省の執行機関は、介助動物の予防接種や訓練の状況、日頃の様子について、航空会社が乗客に「妥当な範囲で」回答を求めることについては、禁止するつもりはないとしている。

 乗客が「感情支援動物(訳注:セラピー犬など、精神的な問題を抱える人をサポートする動物)」の同乗を希望する場合、航空会社は乗客に事前の告知を求めることができ、いくつかの航空会社はすでにこれを実施している。しかし、盲導犬など「介助動物」の場合には、乗客に事前の告知を求めることができない。

 精神的な支えとして動物を連れて搭乗する乗客の数は増えており、航空機への動物の持ち込み件数も近年急増している。航空機に同乗するペットの大半は、きちんと躾がされているが、動物がほかの乗客や航空会社の従業員に噛みついたという事例がいくつか報道されているほか、機内における動物の排泄についても報告があがっている。

 先月には、アメリカン・イーグル航空の乗務員がフライト中に乗客の犬に手を噛まれ、縫合が必要なほどの怪我を負った。この男性乗務員が加入している労働組合、客室乗務員組合は今回の政策について、「機内で放し飼い状態の動物が引き起こす混乱」に対処するための重要なステップだとしている。

 運輸省は今後ガイドラインを発表する予定で、航空各社はその後の30日間で政府の政策に合わせてそれぞれの規則を調整する。

 デルタ航空は、ピットブルの持ち込みと、フライト時間が8時間を超える場合の感情支援動物の持ち込みを禁止しているが、この2つの規則の変更を迫られる可能性がある。ユナイテッド航空もまた、長時間のフライトでは感情支援動物の同乗を禁止している。運輸省は航空各社に対し、長時間のフライトの前には、動物の排泄を衛生的に管理できる旨を明示するよう乗客に求めることを認めている。

 デルタ航空の広報は運輸省の指導内容について、まだ確認作業中だとしている。

 運輸省は、生後間もない動物の持ち込み禁止、ヘビを始めとする外来種の持ち込み禁止など、航空各社が定めるその他の規則に関しては多数承認している。

 航空会社には動物の持ち込み件数を報告する義務はないが、公表している会社もある。デルタ航空は8日、昨年の介助動物、感情支援動物の持ち込み件数は2017年とほぼ同数の24万5,000件で、2015年から約10万件増加したと発表した。ユナイテッド航空の最新の公表値を見ると、2017年の感情支援動物の持ち込み件数は年件7万6,000件と、前年から77%増加している。

 デルタ航空を除くアメリカの主要航空会社による業界団体、エアラインズ・フォー・アメリカと乗務員組合は、感情支援動物と同乗する必要があると不正に申告する乗客が多数いると苦言を呈している。飼い主が動物の付き添いを必要とする旨を示した医師の証明書を持っている場合、航空会社は感情支援動物の持ち込み時にペット料金を課してはならない。

 8日に発表された基準は、運輸省が来年夏を目途に進める新規則制定における準備段階のものと考えられる。同省高官は報道陣の電話取材に対し、規則の内容については明かしていない。

By DAVID KOENIG AP Airlines Writer
Translated by t.sato via Conyac

Text by AP