ロシアの爆発の正体は? 原子力巡航ミサイル「ブレヴェスニク」の可能性も

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◆ミサイルの正体は
 ブルームバーグはミサイルの動力源として、原子力電池の一種である「放射性同位体熱電気転換器(RGT)」が使用されていた可能性を指摘している。核分裂の連鎖反応を利用する原子炉とは異なり、RGTは放射性物質の崩壊による自然発生熱からエネルギーを得る。人工衛星の原子力電池などにも利用される技術だ。

 ただし同記事では、RGTでなく小型の原子炉が試験されていた可能性もあり得ると述べている。今回の犠牲者が務めていたロシアの原子力公社「ロスアトム」は動画でコメントを発表しており、動力源を説明する例として、米NASAが手がけるキロパワー計画に言及している。同計画は昨年、小型の原子炉のテストに成功している。このことから欧米の識者の一部は、問題のミサイルは小型原子炉を搭載する原子力巡航ミサイル「ブレヴェスニク」だった可能性があると見ている。

 NYT紙によるとアメリカ政府関係者の間にも、原子力巡航ミサイルだったとの認識が広がっているという。ロシアのプーチン大統領は昨年の大統領演説のなかで、超長距離を飛翔しアメリカに到達するブレヴェスニクの能力を誇示している。

 原子力公社ロスアトムの社長は「彼ら(犠牲者たち)を忘れない一番の方法は、新型兵器の開発を続けることだ」と述べ、開発継続への意気込みを新たにした。しかしBBCは計画が長年にわたり失敗続きであると指摘し、プロジェクトの成功を疑問視している。

Text by 青葉やまと