アメリカで最も人種統合が進んでいる州は? 最下位は意外な結果に……

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◆人種間格差がもっとも大きい州は?
 では、人種間の格差が大きい下位州はどこだろうか? ワシンドンD.C.(ワシントン、コロンビア特別区)を含む50州1区のうち、47位はミネソタ州(49.64点)、48位はアイオワ州(47.03点)、49位はメイン州(46.50点)、50位はウィスコンシン州(33.27点)、そして最下位の51位はワシントンD.C.(29.35点)となり、北部と中西部州・区が最下位を占めるという意外な結果となった。

 ワシントンD.C.はアメリカの首都である。しかし、「雇用・財産」では51位、「教育」も51位、「社会的・公民的関係」で45位、「健康」でも45位とさんざんな結果となった。また、50位のウィスコンシン州も同じカテゴリー順で50位、50位、51位、46位と相当ひどい。

 細かいカテゴリーを見ると、ワシントンD.C.とウィスコンシン州では人種間の「中間所得の差」(各51位と48位)、「失業率の差」(各51位と48位)、「高卒以上の学歴の成人数の差」(各49位と47位)という結果となっている。しかもワシントン特別区は、「大卒以上の学歴の成人数の差」というカテゴリーでも51位。人種間における教育程度の差は雇用(失業)率の差にもつながるだろう。

◆なぜ米首都で人種間格差が大きいのか
 では、なぜアメリカの首都でこのようなことが起こっているのだろうか? 米紙ワシントン・ポストは2015年6月19日付の記事で、ワシントンD.C.では黒人と白人で居住区がはっきりと分かれており、東部地域の住民はほぼ黒人で、白人人口は1%以下しか見られないのに対し、西部地域では住民の多くが白人で、黒人は5~10%程度しか見られないという。同記事によると、アジア系やヒスパニック系(中南米系)人口はごく少数。

 アメリカの公立校では居住している場所により学区が決定される。人種間で居住区がはっきり分かれているということは、すなわち生まれながらにして教育や雇用の機会で格差が生まれていることを意味するのだ。法律上では人種間平等を謳うアメリカだが、人種間格差や差別の根は深い。とくに格差に甘んじている側の意識を劇的に変えなければ、この問題を改善することは困難であろう。

Text by 川島 実佳