中絶禁止論争、なぜ男性も加わるべきなのか

Seattle City Council / flickr

◆男性としての立ち位置と役割
 男性は黙って、この問題をすべて女性に任せるべきだという議論があるが、これはあまりにも危険ではないだろうか。妊娠中絶に反対する男性が女性の体について発言するなか、妊娠中絶賛成派の男性は、間違ったことを言うのを恐れて後ろに引っ込んでいるべきではない。この法案が可決された際、有名人やセレブリティも怒りと悲しみ、絶望を露わにした。そのなかのひとり、イギリスの女優のジャミーラ・ジャミルは、ツイッターで避妊が失敗したとき中絶した経験を告白。彼女のように自分の経験を共有し、さらに「私はまったく恥じていない」と公言する勇気を持っている女性もいる。

 もし3人に1人の女性が妊娠中絶を経験したことがあるのならば、それと同じ数だけの男性も、相手の女性が妊娠中絶し父親になる必要がなくなった影響を受けているはずである。たとえば学生のときに彼女が妊娠したが、中絶したことで学業を諦める必要がなくなり、いまではキャリアを構築し家庭を築いている男性もそれなりにいるのではないだろうか。

◆女性だけの問題ではない
 ミレニアル世代から人気を集める政治家バーニー・サンダース氏も、「これは女性だけでなく、私たち全員に影響を与える問題だ。中絶を受けるのは明らかに女性であるが、男性もそれから切り離すことができない」と、男性支持者にメッセージを伝え、そして最後に「赤ちゃんを産むには二人かかると聞いたことがある」と付け加えた(BuzzFeed News)。

 妊娠中絶は女性の体に関わるものである。それを男性が一方的に法案を決めるのはあまりにも勝手で無責任である。そして生命を授かるには、女性・男性どちらの協力もいるし、中絶の影響を受けるのは男性も同様である。だからこそ中絶賛成側の男性も「女性の問題」として関心をなくしたり発言することを怖れたりするのではなく、「男性として」の自分の意見を主張するべきである。

Text by sayaka ishida