国際オリンピック委員会、東京は予算削減に対する不満を解決できると確信

AP Photo / Eugene Hoshiko

 2019年5月、国際スポーツ連盟の代表を務める人々が、東京オリンピックの主催者が出費を減らそうとしてあまりにも大幅に予算を削減していることに次々と不満を訴えた。

 前回2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、開催間際になって予算が大きくカットされた。今回、東京オリンピックの予算削減はこの事態を想起させるもので、極度の予算削減は、会場が安っぽく見劣りするものにつながると懸念を表す声も上がっている。

 国際オリンピック委員会(IOC)のメンバーであり、東京オリンピックに向けて建設された各会場を訪れた視察チームの代表、ジョン・コーツ氏は「いずれの問題も解決へ向かうだろう」と確信している。

                                                                                                                 

 コーツ氏は、5月下旬に3日間にわたって開催された会合の冒頭、「最近になって浮上した問題も散見されるが、我々はどの問題に対しても取り組みが進んでいると考えている。そして、必ず対処できる問題ばかりだと自信を持っている。今後さらに深い議論が交わされることになるだろう」と語っている。

 地元の主催者とIOCのメンバーは、労働問題、経費の高騰、真夏の酷暑に関する懸念、選手や観客の移動手段の問題、さらに国際スポーツ連盟から噴出している経費削減に対する苦情を含め、あらゆる問題に直面している。
 
 5月中旬、「2020年夏季東京オリンピックのダークサイド」と題した労働報告書が発表された。報告書は、オリンピックで中心的な役割を果たす、国立競技場とオリンピック村における労働問題に焦点を当てている。

 日本では、高齢化と人口減少による人手不足が多くの業界で深刻な問題だ。日本政府は、オリンピック関連の施設建設に従事する労働者のために通常よりも多くのビザを発給している。4月には、より多くの外国人労働者が日本国内に居住することを許可し始めた。

 スイスのジュネーブに拠点を置く国際建設林業労働組合連盟(BWI)の書記長を務めるアンベット・ユソン氏は、この深刻な内容を含む労働報告書がIOC会長のトーマス・バッハ氏に送られたと語る。

 ユソン氏は、AP通信に宛てた電子メールの中で、「我々は、労働問題への対応策を見い出すため、IOCが2020年東京オリンピックの主催者と直接コンタクトを取っているという知らせを受けた」と語っている。

 ユソン氏は、オリンピック村の建設を行っている東京都や、国立競技場の建設を担当している政府機関の日本スポーツ振興センターからは、何も回答が得られていないと述べている。東京都と日本スポーツ振興センターはAP通信の取材に対し、報告書の内容を詳しく確認しているとした上で、その詳細についてはほとんど明らかにしていない。

 この報告書によると、取材に応じた労働者は、「あちこちに危険な状況」があり、また、それを声高に指摘するのを慎むよう圧力を受けていると不満を漏らしているという。報告書はまた、取材を受けた労働者のほぼ半数近くが正式な労働契約を締結しておらず、オリンピックの中核となる両施設のいずれにおいても「過労を招く危険なパターン」が共通して存在している点に言及している。オリンピック村の建設に携わる労働者の中には、連続して28日間の作業を強制されたり、国立競技場の建設現場では、最大26日も休まず労働を強いられたりした事例があるとしている。

 ユソン氏は、オリンピックの会期に間に合わせるための厳しい短納期と、納期までに工事を完了しなければならない圧力によって、いくつかの問題がさらに深刻化していると語る。

 ユソン氏は、「言葉の壁、雇用契約、および移民問題を抱えるいわゆるインターンや海外からの出稼ぎ労働者の場合、状況はさらに深刻である。建設現場における長時間の超過勤務は、日本における極めて憂慮すべき問題だ」と電子メールの中で述べている。

 この報告書は、東京オリンピック関連事業においてこれまでに2人の労働者が死亡している点を指摘し、2016年には労働同盟が東京オリンピックの監視を開始しており、直近では、2月に労働者に対して聞き取り調査を行ったとしている。

「過労死」として知られるようになった超過勤務が原因となる死亡は、日本政府がこれを防止しようと対策に乗り出してはいるものの、長時間労働を強いられることが多い日本の労働者にとって大きな問題となっている。

 また、主催者である東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は支出の削減を呼びかけている。

 5月にオーストラリアで開催されたオリンピック夏季大会競技団体連合の年次総会では、この件について強い非難が沸き起こった。競技団体連合の会長は「東京オリンピックの主催者は、テレビに映る可能性のないものは無駄な装飾であるとして可能な限り切り捨てようとしている」と述べている。

 また、高騰しているホテル宿泊費や、食品提供サービス、荷物の一時預かり、会場の外観など、基本的事項における予算がカットされていることに対しても不満の声が高まっている。

 夏季オリンピックスポーツ連盟の長を務めるフランチェスコ・リッチ・ヴィッティ氏はIOCのメンバーを兼任しており、視察団の一人でもある。同氏は、経費削減に関して、組織委員会を支持することを約束した。

 東京オリンピックの開催資金は潤沢なように見える。オリンピック自体を開催するのに必要となる6,000億円という運営予算は、関係機関や東京都、および国から資金提供され、その金額は、2016年にリオデジャネイロで開催されたオリンピックの経費の2倍に相当する。さらに、日本国政府、東京の各都市、および都道府県は、東京オリンピックの開催とインフラ整備に対し、合計でおよそ150億ドルの資金を投じようとしている。

 日本で開催するオリンピックの経費はブラジルよりも多く、政府は依然、オリンピック費用のおよそ70%を徴収しようとしている。

 コーツ氏は、一部の会場に既存の施設を利用することで、既に20億ドルから40億ドルの節約ができると話している。しかし、既存の会場を利用すれば、地元の主催者にはより多くの費用負担のしわ寄せが来ることになる。

 コーツ氏は、「我々は、まだ支出を削減する余地があると考えている」と語り、いくつかの分野でさらに経費削減を進める意向を示している。

By STEPHEN WADE and MARI YAMAGUCHI Associated Press
Translated by ka28310 via Conyac

Text by AP