生理用品を女子学生に無料配布、イギリス 「月経の貧困」撲滅へ

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◆十代が立ち上がる 「月経の貧困」は教育に直結
 今回の決定には、「月経の貧困」を終わらせようというプロジェクト「Free Periods」を率いる19歳のアミカ・ジョージさんの貢献があった。ジョージさんは17歳のときに、すべての女子が生理用品を使えるようにするため署名活動を開始。20万人の署名を集めた後、2017年には首相官邸の外に2000人の賛同者を集め、無料の生理用品配布が必要だと声を上げた。この活動により、昨年にはタイム誌の最も影響力のある10代25人の1人に選ばれている。また、ビル&メリンダ・ゲイツ財団がグローバル・ゴール達成のために貢献した人物に与える、グローバル・ゴール・アワードのキャンペーン賞も昨年受賞している。

 現在ケンブリッジ大学で学ぶジョージさんは、低所得世帯では、生理用品が買えず学校を休まざるを得ない子供たちがいると述べ、これは人権問題であり、教育の問題だと主張する。イギリスの平等法のもとでは、子供たちを学校に行かせるのは政府の義務だ。よって法律を変えるのではなく、すでにある法律を遵守することを政府に求めるとしている。さらに男性は生理の話を知らなくてもいい、関与しなくてもいいと思っているが、「月経の貧困」は女性だけの問題ではなく、社会全体の課題だと訴えている(タイム誌)。

 今回の政府の発表は、「月経の貧困」撲滅キャンペーンを行ってきたすべての人々にとっての勝利だとジョージさんは述べ、今後もより良い教育のために戦い、生理が恥ずかしいものという考えを払拭していきたいと話している(スカイ・ニュース)。

◆世界で取り組む問題 英政府も貢献を約束
 実はイギリス政府は3月8日の国際女性デーの前に、世界で無料の生理用品を提供するプロジェクトに200万ポンド(約300億円)を拠出すると発表しており、2030年までにグローバルな「月経の貧困」撲滅を目指している。

 発展途上国のおよそ半分の女性たちは、衛生的な生理用品を使用できずにいる。草や紙を生理用品の代わりにする子供たちは学校を休まざるを得ず、それが教育に負の影響を及ぼしているということだ。ペニー・モーダント英女性・機会均等担当相は、教育なしでは女性が真の能力を発揮することはできないと話し、「月経の貧困」は世界的問題だとしている(ウェブ誌『Mashable』)。

Text by 山川 真智子