編み物の楽しさに目覚めた男たち、欧米で増加中 各地で「編み物男子会」も

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◆ストレス解消、芸術的 編み物は良いことずくめ
 ノルウェーの英字誌ノルディック・ページによれば、ノルウェーに住むBirger Bergeさんもその一人で、子供のころから編み物に親しんでいた。教えてくれたのは、母親と祖母だ。学生のころ、勉強からくるストレス解消のために編み物を再開したところ、深い充実感を得たという。そこからすっかりハマり、作品をSNSで紹介するようになった。見事なノルディック模様の作品が並ぶBergeさんのインスタグラムは、3万3000人を超えるフォロワーがいる。

 アメリカ人のジョシュ・ベネットさんも編み物を愛する男性で、インスタグラムにいろいろな場所で編み物をする自分の写真を投稿している。筋肉質のマッチョな見た目とのギャップが数年前から話題となっているが、実は編み物インストラクターでもあり、ニューヨークでニット用品店を経営し、トミー・ヒルヒガーなどの有名ブランドのデザインを手掛ける成功者だ。やはり編み物を教えてくれたのは祖母だったとのこと。ベネットさんは、「自分にとって編み物とは物語だ。すべての作品の背後には、ストーリーがある」と編み物の素晴らしさを語っている(ウェブ誌『クオーツ』)。

◆好きなことを堂々と 編み物男子が変える価値観
 編み物に魅かれる男性たちの輪を広げるため、各地で男性だけの編み物グループが結成されている。ニューヨークのブルックリンで毎週「編み物男子」の集まりを開催するのは、ルイス・ボリアさんだ。実はボリアさんは、2017年にニューヨークの地下鉄で編み物をしていたところ、その話題が新聞やSNSで広がり、ちょっとした有名人になった。集まりでは、編み針を動かしながらおしゃべりをし、ビールを飲むリラックスした男性たちの姿が見られる。参加者の一人は、編み物は計画から製作まで一つのプロジェクトとして成り立っており、クリエイティブで達成感のある作業だと満足そうだ。ボリアさんは、編み物はおばあちゃんのするものというステレオタイプ的なイメージを打ち破り、男性も堂々と編み物ができるようにトレンドを変えたいと願っている(ロイター)。

 ノルディック・ページ誌は、Bergeさんのような「編み物男子」の活動は、男性も女性も同じことができることを示すよい例だと述べる。世の中ではしばしば男性にできて女性にできないことが男女平等の問題として取り上げられるが、逆のパターンもあることを指摘。大切なのは、誰もが自分の好きなことができ、自分らしくいられることではないかとしている。男女の垣根を取り払う「編み物男子」の活躍に、今後も期待したい。

Text by 山川 真智子