イスラム過激派の新たな脅威か? モザンビークで相次ぐ襲撃事件

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 しかし、近年このイスラム過激派は、イスラム国(IS)が掲げる暴力的な過激主義などに傾倒しているという。イスラム過激派の動向を監視する米国の監視機関「サイトインテリジェンス(SITE)」は2018年6月、 同過激派の戦闘員たちがISの旗を掲げてISを支持する様子を映した写真を公開した。この組織はモザンビーク北部を中心に厳格なイスラム法(シャリーア)によるイスラム国家の建設を掲げている。

 そして、このイスラム過激派には地元民だけでなく、ソマリアで軍事訓練を受けたモザンビーク人、またガンビアやウガンダ、タンザニアや南アフリカなどの外国出身者も加わっているという。

 このような近年の治安悪化を受け、カボデルガド州の港町モシンボア・ダ・プライアの州当局は1月31日、ついに夜間外出禁止令を出した。

◆今後の動向
 このモザンビーク北部の情勢について、国際テロ情勢の観点からはまだそれほど注目は集まっていない。しかし、過去の教訓として、こういったイスラム過激派は軍や警察のコントロールが及ばず、自由に活動できる領域を隠れ蓑とし、そこで組織の基盤作りと拡大を狙う傾向がある。すでに複数の外国人が逮捕されており、組織の国際化、外国のイスラム過激派との関係強化を狙う意図も十分に考えられる。このイスラム過激派は、現地で天然ガス採掘などを営む外国企業も標的にしているとされ、数としては少ないものの、同地域で活動する日系企業と海外邦人の安全の観点からも注意が必要だろう。

Text by 和田大樹