マレーシアで大規模デモ 「マレー系優遇」に足を引っ張られるマハティール首相

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◆止まらない中華系の流出、発展に影響
 中華系住民が70%以上を占める隣国シンガポールの英字新聞ストレーツ・タイムズは、昨年1月の記事で、マレーシアでは、事業欲に富み、経済活動が活発な中華系マレーシア人の流出が続いており、このままだと国の税収も専門職従事者の数も減少するという分析があると伝えている。

 現地のシンクタンクの調査によると、マレーシアが英国より独立した1957年当時、中華系の人口は37.2%であったが、2010年までに実に100万人の中華系マレーシア人が他国へ移住し、出生率の低下もあいまって、2013年には24%に減少、2030年にはさらに19.6%まで落ち込むことが予測されているという。

 同記事によると、2010年までに流出した100万人の中華系マレーシア人のうち57%が発展目覚ましい隣国のシンガポールへ移住した。

 前政権時に掲げた、2020年までに先進国入りを果たすという目標を果たせず、ライバルともいえる隣国シンガポールに経済面で大きく溝を開けられているマレーシアの現状を鑑み、マハティール首相は不平等な政策の是正に乗り出したのであろう。しかし、自らが前政権時に長きにわたり特定の人種に与え続けた優遇政策に足を引っ張られるかたちとなっているようだ。

Text by Tamami Persson